The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

外科治療

デジタルオーラルII(P52)
外科治療 5

指定討論者:小谷 恭弘(岡山大学心臓血管外科)
指定討論者:宮本 隆司(新生会 児玉経堂病院)

[P52-3] 三尖弁形成術を併施した肺動脈弁置換術症例の検討

藤田 智, 小田 晋一郎, 塩瀬 明 (九州大学病院 心臓血管外科)

Keywords:成人先天性, 肺動脈弁置換, 三尖弁形成

[背景]先天性心疾患根治術後遠隔期に肺動脈弁置換術(PVR)の適応となる症例において,併存する三尖弁閉鎖不全への介入については議論のあるところである。当施設で経験した三尖弁形成術(TAP/TVP)を併施したPVRの手術成績を後方視的に検討した。[対象]2003年から2020年までにPVRを施行した115例のうち,TOFおよびDORV/PS修復術後の肺動脈弁閉鎖不全に対しPVRを施行した80例を対象とした。PVR施行時の年齢は31.3歳。TAP/TVPを施行した19例(A群)とPVR単独施行61例(B群)で経胸壁心エコー検査及びcMRIによる三尖弁機能及び心室容積と右室機能の比較検討を行った。平均観察期間は5.6年。[結果]死亡症例なし。観察期間中に再手術を要した症例は4例(人工弁不全3例、IE1例)。再手術を含めた主要合併症の回避率は5年97.2%,10年86.3%で両群間に有意差なし。経胸壁心エコーでは,術前のTADI(30.5 vs 23.5)及びTR grade(3.0 vs 0.75)に有意差を認めた。術直後は差を認めないものの術後遠隔期ではTR grade(1.61 vs 0.58)と有意差を認めた。A群9例(47%)に遠隔期のmild to moderate以上のTR増悪を認め,うち7例は三尖弁リング不使用であった。TAPSE及びFACは術前,術直後,遠隔期ともに二群間で有意差なし。cMRIは術前および術後1年,遠隔期(4.2 年)で評価を行いRVEDVI(189.5, 120.7, 123.7ml/m2), RVESVI(110.8, 73.2, 79.7ml/m2)と右室容積の有意な低下を認めた。両群間の右室容積および右室機能の比較では,術前の右室容積(RVEDVI; 234.5 vs 117.1, RVESV; 145.9 vs 101.0)のみ有意差を認めた。[結語]当院で施行したPVRの中期成績は満足できるものであった。TVPや縫合によるTAP症例において遠隔期のTR増悪を認める症例が多く、リングの使用が望ましいと考えられる。