[P54-1] 近年におけるAsplenia 症例の予後規定因子の検討
Keywords:Asplenia, 外科治療, Fontan
{はじめに}診断・治療技術は日々進歩しているがAsplenia syndromeは先天性心疾患症例の中で最も予後不良な疾患群である。{目的}近年における同疾患群の手術治療成績を知る事。{対象・方法}2014年1月から2020年12月までに当院で診断された39例の内、手術加療されたAsplenia症例37例を対象とし、その予後を肺動脈血流形態、心臓形態(心室のバランス)、両側上大静脈の有無、major aortopulmonary collateral artery (MAPCA)の有無、房室弁逆流の程度、総肺静脈還流異常の有無、肺静脈狭窄の有無、心尖部方向の因子を元に後方視的に検討した。{結果}全37例がフォローアップされており、その期間は35±29ヶ月。Glenn手術到達率70%、Fontan手術到達率41%、全死亡例は12例、1年累積生存率78%、3年累積生存率66%であった。死亡に影響する因子をLASSO法で多変量解析した結果、肺動脈閉鎖、両側上大静脈、房室弁逆流、MA P CAがリスク因子であることが判明した。{結語}累積死亡率からは他文献に比し近年での当院手術成績は良好な結果であった。一方でFontan手術到達率は41%と低値に止まっており同疾患群の肺血管床、心機能の悪さを示唆していた。治療成績改善の為にはリスク因子としてあがった肺動脈閉鎖、房室弁逆流、MAPCAへの介入、両側上大静脈合併症例でのGlenn介入時期に更なる工夫が必要と考えられた。