The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

外科治療遠隔成績

デジタルオーラルII(P54)
外科治療遠隔成績

指定討論者:島田 勝利(東京女子医科大学)
指定討論者:打田 俊司(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管呼吸器外科)

[P54-2] 乳児期早期心室中隔欠損症に対する肺動脈絞扼術の治療成績の検討

鈴木 理大1, 小野 友行1, 高島 悟2, 中島 光一郎2, 西原 卓宏2, 八浪 浩一2, 塩瀬 明3, 深江 宏治1 (1.熊本市民病院 小児心臓外科, 2.熊本市民病院 小児循環器内科, 3.九州大学大学院医学研究院 循環器外科学)

Keywords:肺動脈絞扼術, 心室中隔欠損症, 乳児期早期

【背景】心室中隔欠損症(VSD)に対しては通常初回根治術が選択されるが、低体重等により根治術が困難な症例に対しては肺動脈絞扼術(PAB)が選択される。
【目的】生後6ヶ月未満(乳児期早期)の乳児VSDに対するPABの治療成績の検討。
【対象・方法】2011年1月1日から2020年12月31日の間に手術を施行した乳児期早期のVSD症例171例のうち、PABを施行した18例についてその治療成績を後方視的に検討した。
【結果】手術時日齢 中央値54(27-177)日、手術時体重 中央値3.19(1.73-5.18)kg、併存疾患は一過性骨髄異常増殖症(TAM)2例、肝機能障害2例、頭血腫1例、水腎症1例、染色体異常は8例(21 trisomy 7例、18 trisomy 1例)であった。PABを選択した理由は低体重9例(中央値2.90kg)、併存疾患によるもの5例(TAM2例、肝障害・頭血腫・水腎症 各1例)、漏斗部中隔の前方偏位2例、subpulmonary type VSDのためアプローチ困難な症例2例であった。術後追跡期間は中央値 1889(44-2842)日であり、院内死亡は認めず、術後遠隔期死亡は3例であった。根治術は11例に施行しいずれも合併症なく経過し外来フォロー中、3例は手術待機中である。また一期的根治術施行群153例に死亡例は認めていない。死亡例は3例とも突然死であり死因は不明、術後生存期間は症例1: 44日、2: 90日、3: 104日であった。Banding周径はそれぞれ体重+20mm, +19.5mm, +19mm、退院時の肺動脈流速は3.9m/s, 3.8m/s, 3.6m/sで生存群との間に有意差は認めず、Banding migration, 退院時前後の酸素化低下は見られなかった。症例1,3は入院中に心嚢液貯留を認めたものの両症例とも改善もしくは改善傾向であり、入院経過と死亡との関連は不明であった。
【結論】死亡した3症例に関して、入院経過と死亡との明らかな因果関係は指摘できなかった。今回の結果からPABは未だInterstage deathの可能性があり、密なフォローアップと可及的早期の根治術が必要と考えられた。