[P54-4] 両側肺動脈絞扼術を先行させたIAA/CoA complexの遠隔成績
キーワード:大動脈弓離断, 両側肺動脈絞扼術, 左室流出路狭窄
【背景】IAA/CoA complexの初回手術として両側肺動脈絞扼術(bPAB)が選択されることがある.これら疾患群では種々の程度の左室流出路狭窄を有しているがbPABが左室流出路の成長に与える影響は明らかになっていない.【目的】当院では複雑な病態や低体重児などを有するCoA/IAA complexに対してbPABの後arch repairをする方針としている.初回手術としてのbPABが左室流出路の成長へ与える影響や遠隔成績を検証する.【方法】2013年以降IAA/CoA complexでbPABを施行した12例(単心室修復UVR: 5, 二心室修復BVR:7)を対象とした.エコー,遠隔成績を後方視的に検証した.【結果】男5(42%).在胎週数38週(34-40)(median,range).出生体重2.5g(1.1-3.5).CoA/IAAに合併する心疾患は, UVR群SV3, DORV2(false Taussig Bing1, multiple VSD1),BVR群DORV3, AVSD2,APW2.bPABを選択した理由として複雑な解剖10, 低体重8, genetic/multiple anomaly7 (VACTER2, CHARGE1, CATCH1, 21trisomy1, others2).日齢6日(3-71),体重2.4kg(1.9-3.3)でbPABを施行.手術死亡なし.Arch repairまでのintervalは49日(25-59)で体重2.8kg(2.6-4.1).大動脈弁輪径はz valueでbPAB前-3.6(-6.4~-1.5)から2期手術前-2.9(-6.4~-1.5)と有意に拡大を認めた(p=0.02).UVR群とBVR群とで差は認めなかった.Arch repairはUVR群でEAAA2,Norwood3(病院死亡1),BVR群でEAAA6(病院死亡1),Norwood1を施行.Norwoodを施行した4症例のうち2例はもともとの弁下狭窄残存が主因であった.遠隔期死亡1(UVR群でPVS進行).EAAAを施行した症例は術後24か月(11-35)時点で大動脈弁輪径-1.6(-3.2~-1.0)とさらなる成長を認める結果であり(p=0.01),全例左側流出路狭窄なく経過していた.【結語】bPABはIAA/CoA complex症例において大動脈弁輪成長を促しDKS吻合を回避できる可能性が示唆された.弁下狭窄に対しては改善を期待しがたく最終的に流出路維持にDKS吻合を要する可能性が高いと思われた.