The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

外科治療遠隔成績

デジタルオーラルII(P54)
外科治療遠隔成績

指定討論者:島田 勝利(東京女子医科大学)
指定討論者:打田 俊司(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管呼吸器外科)

[P54-5] 狭小大動脈弁輪を有するIAA/CoAに対する両側肺動脈絞扼術の有用性

永瀬 崇1, 山岸 正明1, 前田 吉宣1, 板谷 慶一1, 本宮 久之1, 中辻 拡興1, 鍋島 惇也1, 夜久 均2 (1.京都府立医科大学 小児医療センター 小児心臓血管外科, 2.京都府立医科大学 心臓血管外科)

Keywords:両側肺動脈絞扼術(bPAB), 大動脈離断症/縮窄症, 狭小大動脈弁輪

【目的】当院では二心室修復可能かどうかボーダーラインの狭小大動脈弁輪(vAS)を有する大動脈離断症(IAA)/大動脈縮窄症(CoA)症例に対して初回手術として両側肺動脈絞扼術(bPAB)を選択している。今回bPABを施行したvAS合併IAA/CoA症例に対する治療成績について後方視的に検討した。【方法】2013年から2020年において、vAS ( Z score <-2.0)を有するIAA/CoA症例に対してbPABを施行した8例を対象とした。診断はIAA 3例、CoA 5例。術前の体重、日齢、平均大動脈弁輪径およびZ scoreは、中央値で各々2583g(1682-3048g)、10日(5-26日)、4.6mm(3.6-5.5mm)、-2.93(-4.57 - -2.06)であった。【結果】経過観察期間の中央値は2年(3ヶ月-2.5年)。bPABにおける早期・遠隔期死亡は認めず、3.5ヶ月(1 - 7.5ヶ月)の間隔をおいて8例全てが二期的根治術に到達した。1例待機中。二期的根治術として6例がVSD閉鎖および大動脈弓再建を施行、1例がYasui手術を施行した。根治術前の大動脈弁輪径およびZ-scoreの中央値は5.8mm(5.1-7.1mm)および-2.78(-3.84 - -1.37)であった。根治術後の早期遠隔期死亡は認めず、左室流出路における再介入を要した症例は認めなかった。VSD閉鎖を行なった6例の直近の大動脈弁輪径およびZ scoreの中央値は9.3mm(6.6-10.0mm)、-1.48(-2.1 - -0.92)であった。【結論】初回手術としてのbPABによって、新生児期の人工心肺使用を回避しつつ、患児の成長を期待でき、二期的修復術をより安全に迎えることができる。また狭小大動脈弁輪を有する患者においても弁輪の成長を待つことで二期的根治術に至りうる。