The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

多領域

デジタルオーラルII(P55)
多領域 1

指定討論者:権守 礼美(認定NPO法人 シャインオンキッズ)
指定討論者:長野 美紀(国立循環器病研修センター 看護部)

[P55-1] 乳幼児期における小児補助人工心臓装着中の看護実践報告

見寄 郁美1, 勝原 寛子1, 藤本 美奈子1, 三池 虹2, 坂口 平馬2, 小森 元貴3, 山下 知穂1 (1.国立循環器病研究センター 看護部, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 3.国立循環器病研究センター 小児心臓外科)

Keywords:乳幼児期, 発達, VAD装着患者

【はじめに】 2010年以降小児体外式補助人工心臓(以下VAD)装着患者が増え、当病棟では2017年よりVAD装着患者を延べ11名受け入れた。VADの看護では、貫通部の皮膚トラブルが少ない状態で管理し、心臓移植につなげることが重要である。今回、発達に合わせた固定方法を検討・介入した事例を報告する。【目的】 貫通部の皮膚トラブルを防ぐ固定方法を検討する。【事例】拡張型心筋症の男児。生後9か月でVAD装着。現在1歳7か月。【看護の実際】生後9か月:臥床状態。レシピエント移植コーディネーターと共に固定方法を検討し、貫通部とカニューレの摩擦を軽減する固定を実施。生後10か月:寝返り・腹臥位獲得。送脱血管カニューレの左右の動揺を軽減する固定を実施。乳児用の椅子使用時、前屈姿勢や体幹をひねる動作がみられ、貫通部への影響を懸念しスイングラックに変更した。貫通部に発赤認めたが固定変更で軽減した。1歳3か月:寝返り・腹臥位の増加。送脱血管カニューレ屈曲・貫通部圧迫を防ぐため腹部のスポンジを作成。1歳4か月:つかまり立ち・伝い歩き開始。送脱血管カニューレの動揺により、貫通部上端の発赤は増強し、肉芽を形成したため動揺しない固定方法とした。貫通部悪化を機に一時歩行禁止となり皮膚・排泄ケア認定看護師介入、理学療法士と情報共有を行った。【考察・結語】小児のVAD装着では、貫通部の皮膚トラブルが生じやすく、痛みを伴う上に、固定強化・活動制限の必要性が生じる。VADの看護では、成長発達を妨げず、貫通部を良い状態で維持することが重要である。今回の症例では、児の様子の変化を早期に捉え、悪化因子となる動きと貫通部の状態を関連付けて考え、悪化因子を最小限にする方法を早期に実践・評価したことが急激な貫通部の悪化を防止したと考える。成長発達に合わせてVADの管理をしていくため、今後も多職種連携を十分に発揮していく。