[P6-2] 異なる経過を辿った大動脈弁狭窄を合併した純型肺動脈閉鎖の2例
Keywords:純型肺動脈閉鎖, 大動脈弁狭窄, 胎児水腫
【背景】PA/IVSにASを合併することは非常にまれで、両側流出路狭窄を伴う胎児循環の評価、娩出時期決定や出生後の管理が問題となる。胎児期からの経過が異なる2例のPA/IVS+ASを経験したので報告する。【症例1】妊娠23週でPA/IVSと診断、肺動脈弁、三尖弁、右心室は低形成で将来的に一心室修復が想定される形態であった。大動脈弁輪は+1.3SD、大動脈弁血流速度は1.0 m/sであり、ASは指摘できなかった。胎児期には循環動態は増悪せず、在胎38週に予定帝王切開で出生した。経胸壁心エコーで大動脈弁の開放制限、大動脈弁血流速度4.4m/s、経時的な左室収縮能低下を認め、早期介入を要するASと診断した。日齢7に経皮的大動脈弁形成術、日齢11に外科的大動脈弁形成術とBTシャントを施行、ASは15mmHgに低下し左室収縮能は改善した。術中所見では粘液性結節を伴う二尖弁であった。生後4ヶ月で両方向性グレン手術を終え、フォンタン手術待機中である。【症例2】妊娠23週でPA/IVS+ASと診断。肺動脈弁は膜様閉鎖で二心室修復が期待できる形態であった。大動脈弁輪は-0.8SDで開放制限を認め、大動脈弁血流速度は4.0m/sであった。経時的に左室の心筋肥厚、僧帽弁逆流、肺静脈の逆行性血流が進行した。妊娠29週で卵円孔の左右短絡が出現、心拡大と腔水症を認めた。早期娩出による大動脈弁への介入に関して議論がなされたが、最終的に経過観察の方針とし、妊娠32週で子宮内胎児死亡となった。ASに伴う左室拡張期圧、左房圧の上昇により卵円孔での右左短絡が制限され、胎児水腫に進行したと考えられた。【結語】2例の臨床経過の相違はASによる左室機能低下に起因する。すなわち、両流出路狭窄の病態をもつ本疾患群での胎児循環破綻のcritical pointは、ASの程度において症例1と2の連続したスペクトラム上のどこかに存在する。