[P6-5] 胎児期に徐脈、房室弁逆流、腔水症を認めた後にFontan循環に到達し得た多脾症、機能的単心室の1例
Keywords:多脾症, 胎児心不全, フォンタン手術
【緒言】左側相同心のブロックを伴う房室中隔欠損は胎児診断例の予後不良群とされる。また、Fontan循環は適切な心室拡張能が求められる。今回、我々は胎児徐脈、重度房室弁逆流、腔水症を認めた胎児心不全で、段階的手術、心不全治療によりFontan手術に到達し得た症例を報告する。【症例】5歳女児。在胎30週、胎児徐脈、単心室で当院へ紹介。胎児エコーで右胸心、共通房室弁逆流、低形成左室、肺動脈狭窄、下大静脈欠損、PAC with block、二段脈と診断。36週、胸腹水、心嚢水を認め緊急帝切、体重2330gで娩出。Apgar5点(1’)。三段脈でQRS rate70台。挿管し、ペースメーカー(PM)目的の手術導入中に洞調律に復帰したため集中治療室管理とした。しかし、洞機能障害での徐脈を推移しアシドーシスが進行したため日令2にPM埋込を施行。心拍数は保持されたが房室弁逆流による心不全から脱却できず、日令14に共通房室弁形成術を施行。弁逆流改善するも血圧維持困難となり日令17に肺動脈絞扼術を追加。日令55に退院。月令10、カテーテル評価RpI 2.3、PA index 303での次手術待機中にSpO2 20%の高度チアノーゼにて緊急搬送入院。絞扼部migrationの関与もあり救命目的にhemi-Fontan手術施行した。同日インフルエンザ陽性判明。術後20日に退院。術後3ヶ月時に心収縮低下、BNP上昇を認め心不全入院となる。内科的管理によりBNP1254が97へ低下し心収縮、房室弁逆流の改善を認め2ヶ月後に退院となった。体重増加を待ち2歳8ヶ月カテーテル評価RpI 1.8、SV 88/edp4、BNP6未満であり、3歳時に肝静脈-奇静脈吻合によるTCPC施行。4歳カテーテル評価にてCVP11mmHg、RpI 1.3、SV 85/edp5、BNP6未満と良好な結果であった。【結語】胎児期最重症疾患においても周産期および不測の悪化時に期を逸せぬ適切な治療を行う事でFontan循環に到達し得る症例がある。