[P9-2] 新生児期に心内石灰化病変にして手術加療を要した姉妹例
Keywords:心内石灰化, 姉妹例, 複雑心奇形
【背景】胎児期に腫瘤による石灰化病変や、重度の左室機能障害に伴う心筋石灰化は知られているが、胎児期の心内石灰化形成についてはほとんど報告がない。【症例1】胎児期に異常指摘なし。40週3415gで出生。出生後、チアノーゼ、心雑音を呈し心エコーで主肺動脈内に高輝度病変があり重度肺動脈狭窄をきたしていた。造影CTで主肺動脈を占拠する全周性の石灰化病変を認めた。日齢4で酸素化不良を呈し、石灰化病変摘出術、肺動脈形成術を行った。左肺動脈狭窄があり1歳10か月で経皮的肺動脈形成術を施行した。【症例2】症例1の妹。在胎29週の胎児超音波検査で、三尖弁領域に高輝度病変、右室低形成、逆行性動脈管血流を指摘。三尖弁逆流は重度で機能的肺動脈閉鎖を伴い、circular shuntによる循環動態だったが胎児水腫に至ることなく38週2500gで出生。出生後PGE製剤で動脈管を維持した。CTでは三尖弁以外に石灰化はなかった。肺血流過多と卵円孔の狭小化のため、日齢10に三尖弁形成術、心房中隔欠損形成術、mBTシャント術を行った。石灰化病変をそぎ落とすことで三尖弁の可動性が確認できたためStarnes手術ではなく形成術とした。三尖弁逆流は重度であったが、6か月時の三尖弁輪は11mm(Z-1.43)で、心臓カテーテル検査で右室からの順行性血流があり、右室容積もあったため、10か月に三尖弁形成およびOne and Half repairを行った。いずれの分娩経過に母体の感染徴候はなく抗リン脂質抗体症候群などの血栓形成疾患の既往はなかった。両児ともProtein C/Sやアンチトロンビンの欠乏はなく、出生後は石灰化や血栓形成はない。病理では高度の石灰化病変を呈するのみで細胞成分はなかった。エクソーム解析を行っているが変異の報告はまだない。【考察とまとめ】姉妹での発症であり遺伝的要素の関与が疑われた。しかし、出生後は血栓や石灰化の出現はなく石灰化病変は胎児環境でのみ発生しており、胎児循環の関連も示唆された。