[P9-3] 乳児孤立性僧帽弁膜症の臨床像
Keywords:僧帽弁膜症, 乳児特発性僧帽弁腱索断裂, 人工弁置換術
【背景】乳児期に発症する孤立性僧帽弁膜症(IMVD)は稀であり、その原因及び、臨床像を把握し診療にあたることは重要である。【目的】当院で外科治療に至った乳児僧帽弁膜症に対し臨床像を明らかにする。【方法】対象は当院で1990年以降に経験した、僧帽弁膜症に対し、乳児期に手術した5症例を診断、年齢、入院前経過、手術所見、手術方法、術後遠隔期経過を後方視的に比較検討する。【結果】乳児特発性僧帽弁腱索断裂(ICRMVI)が3例、腱索の異常挿入による先天性僧帽弁逆流症(cMR)が1例、短小腱索による先天性僧帽弁狭窄兼逆流症(cMSR)が1例。発症月齢はICRMVIは8ヶ月が1例、6ヶ月が2例、cMRが2ヶ月、cMSRが5ヶ月。5例とも哺乳不良があった。2例は発熱を認め、1例は川崎病の診断に至っている。両弁尖共に逸脱があるICRMVIの2例は僧帽弁形成術(MVR)に至った。後尖逸脱がある1例は僧帽弁形成術(MVP)に至った。cMRとcMSRの症例はMVPが困難でMVR至った。cMSRは17mmが、他の3例で16mm人工弁が挿入されていた。遠隔期観察期間は3年から11年(中央値7年)で、2例で4歳時と6歳時に再弁置換をおこなっていた。術後遠隔期、重大な合併症は認めていない。【考察】乳児期のIMVDではICRMVIの頻度が高く、発熱との関連が示唆された。人工弁置換にいたる可能性が高く、数年の経過で再弁置換に至ることもあるが、おおむね順調な経過であった。