The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

複雑心奇形

デジタルオーラルII(P9)
複雑心奇形 2

指定討論者:吉澤 康祐(兵庫県立尼崎総合医療センター)
指定討論者:山澤 弘州(北海道大学大学院医学研究院小児科)

[P9-5] PA/IVSに合併した類洞交通により死亡、虚血症状を呈した症例に対する検討

下山 輝義, 上田 知実, 小林 匠, 前田 佳真, 齋藤 美香, 吉敷 香菜子, 浜道 裕二, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院)

Keywords:PA/IVS, 類洞交通, 右室依存性冠血流

【背景】PA/IVSはスペクトラムの広い疾患群であるが、右室低形成に伴う類洞交通(SC)を有する疾患では心筋虚血が問題となり、本疾患の死亡の大多数を占める。【目的】当院で経験した死亡・虚血を呈したPA/IVS症例について文献的考察を踏まえ検討すること。【方法】2004年1月~2021年2月で当院に入院したSCを合併したPA/IVS症例についてその支配領域、右室低形成と三尖弁狭窄の程度及び転帰について後方視的に検討した。【結果】PA/IVS計34例(男18女16)のうち16例にSCを認めた。このうち右室依存性冠循環(RVDCC)と判断した症例は7例(疑い3例含む)であった。肺動脈弁への介入を行った3例では2心室修復に2例、1.5心室修復に1例到達した。Fontan適応と判断した13例では9例がTCPC手術に到達したがこのうち3例で経過中に虚血所見を呈した。また死亡例3例を認め、いずれもshunt術後の死亡であった。死亡、虚血をきたした6例はいずれもSC(RVDCC5例)を有し、重度の三尖弁狭窄(及び右室低形成)を合併した症例であった。【考察】PA/IVS症例において、RVDCCと重度の三尖弁狭窄合併は予後不良因子であるといわれているが、当院においても同様の結果であった。当院での死亡例については、2症例がシャント術直後に急変しており手術に伴うSC支配領域の冠血流低下が要因であると考えた。もう1例はGlenn術前、大啼泣を機に急変し死亡に至った。明らかな原因は不明であるが、蘇生への反応が極めて不良であり同様にSC支配領域の冠血流低下の関与が考えられた。【結論】PA/IVS症例で、RVDCCを認めるSCと重度三尖弁狭窄を有する症例は術前術後やカテーテル検査など右室圧の変化を生じる状況において、注意深い管理が必要である。