[I-MPL-02] microRNAに着目した川崎病冠動脈瘤における血管微小粒子の役割解明と新薬開発
Keywords:Endothelial microparticle, microRNA, Coronary artery lesion
【背景】川崎病急性期における病態が全身の血管炎であることから血管内皮細胞傷害により遊離される血管微小粒子(EMP: Endothelial microparticle)に着目し、我々はすでに川崎病患者急性期のEMPが他の有熱性疾患と比べ有意に上昇し、冠動脈病変(CAL: Coronary artery lesion)形成に関与することを報告した。【方法】川崎病患者50例(うちCAL 5例)、有熱性疾患50例の血清中EMPをFACSにて測定し、EMPに含まれるmicroRNAを抽出しマイクロアレイを施行し、in silico解析を行った。さらに、川崎病冠動脈瘤破裂症例の剖検病理切片にてCAL症例に特異的なmicroRNAのin situ hybridizationを施行した。また、Candida albicansの培養上清から得られる可溶性多糖分画(CAWS: Candida albicans water soluble fraction)による血管炎マウスモデルを作成し、この特異的なmicroRNAのtransfection実験を予定する。【結果】CAL症例のEMP内に存在する特異的な炎症性サイトカインを誘導する2種類のmicroRNA-320aとmicroRNA-145-5pを同定し、この特異的な2種類のmicroRNAの冠動脈病変内での局在をin situ hybridizationにて確認した。さらに、DBA/2マウスにCAWS投与し、投与後の病理切片にて冠動脈血管への炎症性細胞浸潤を確認した。【結語】EMP内に含まれるCAL症例患者の特異的な2種類のmicroRNAは川崎病急性期において炎症性サイトカインを誘導し、CAL形成機序に重要な役割を果たしていることが示唆された。