[I-OR02-01] Noonan症候群の心電図所見の年齢別解析
Keywords:Noonan症候群, 軸偏位, wide QRS complex
【背景】Noonan症候群は肥大型心筋症、肺動脈狭窄、心房中隔欠損症などの特有の心疾患を認める先天性奇形症候群である。左軸偏位、異常Q波、wide QRS complex、左側胸部誘導での小さいR波など特徴的な心電図所見を認めるが、心電図所見の経年的な変化に関してははっきりわかっていない。【方法】当院で経過観察されており、心電図に関して検討が可能なNoonan症候群の患者の診療録をもとに後方視的に検討した。Noonan類縁疾患は症例数が少ないため、解析の対象から除外した。収集した心電図は生後1か月~1歳(G1)、1歳~6歳(G2)、6歳~12歳(G3)、12歳以上(G4)の4つのグループに分けて解析した。【結果】112名の対象患者から256例の心電図を収集することができた。遺伝子診断されている患者は39名、心疾患をもつ患者は81人であった。グループごとの症例数(G1/G2/G3/G4)は(46例/87例/71例/52例)であった。軸異常はどの年齢群でも高率に合併し、右軸偏位は(56%/33%/21%/19%),p<0.001、左軸偏位は(37%/33%/32%/38%), p=0.38と右軸偏位に年齢による差を認めた。異常Q波(15%/10%/11%/11%),p=0.87、wide QRS complex(5%/8%/8%/9%),p=0.79は年齢群による差を認めなかった。左側胸部誘導での小さいR波は(33%/15%/9%/15%),p=0.007と年齢による差を認めた。どの年齢層でも右脚ブロックを(34%/27%/23%/36%),p=0.38を認めた。【まとめ】異常Q波、wide QRS complex、左軸偏位のように年齢群において変化しない所見を認めた。一方で、右軸偏位、左側胸部誘導の小さいR波においては年齢群による差を認めた。肺動脈狭窄や心房中隔欠損症の既往や乳児期の右心室優位の影響が関係している可能性がある。このような年齢における心電図変化がNoonan症候群の早期発見に役立つ可能性がある。