[I-OR04-01] 先天性心疾患におけるステント留置後病変の病理組織学的検討
Keywords:カテーテル治療, ステント, 再狭窄
【背景】小児期の心血管病変に対するステント留置では、成長によるサイズミスマッチを生じるだけでなく、新生内膜や血栓によるステント内狭窄も少なからず生じる。成人と比較して、小児のステント留置後の組織学的評価や狭窄機序を解析した報告は少ない。【目的・方法】小児期に心内および狭窄血管に留置されたステントの内皮化および狭窄の発生機序を明らかにするため、手術時に摘出が可能であったステントについて病理組織学的評価を行った。【結果】対象は、5症例10病変。病変は、肺静脈6, BTシャント(ePTFE)2, 左心低形成症候群 動脈管1, 心房間1。ステント留置から摘出までの中央値は1.5年。肺静脈では、いずれもストラットの内側に通常のmyofibroblastによる著しい繊維組織の増生に加え、時相の異なる細胞外基質を有する線維成分の増生があり、ステント留置後反応性に内膜増生が進行していたことが示唆された。BTシャント(ePTFE)では、個々のストラット周囲を取り囲むようにfibrinを中心とした薄い新生内膜が発生し血管内面を覆っており、最初にステント周囲に血栓が付着した後にmyofibroblastが浸潤し薄い内膜を形成したものと考えられた。動脈管は、ステント周囲のマクロファージはわずかでストラットの内側に軽度の新生内膜がみられた。心房中隔では、心房心筋への圧迫は軽微であったが、ステントと心房壁の接触部分で心腔側への新生内膜の増生があり、これにより心房中隔の肥厚していた。【まとめ】小児期に留置されたステントでは病変毎に特徴的な組織学的反応がみられた。近年、肺静脈ではmTOR阻害薬による再狭窄の予防効果が報告され、またBTシャントへの代替療法として動脈管へのステント留置が報告されている。ステント留置後病変の組織学的評価は、こうした新規治療の妥当性や再介入の必要性を説明する根拠となり、今後の効果的な血管狭窄の解除方法を検討して行く上で重要であると考えられる。