[I-OR05-04] 重症Ebstein病の死亡リスク因子と心房性不整脈
Keywords:エプシュタイン病, 単心室, 心房頻拍
本文【背景】重症Ebstein病(ED)は未だ死亡リスクの高い病態であるが,そのリスク因子は明らかではない。【方法】1985~2021年に当院を受診したED 114例のうち,2000年以降の82例(二心室修復群[BV]49例, 単心室修復群[SV]33例)を対象とし,診療録から後方視的に解析した。有意水準は0.05未満。【結果】BV群とSV群の比較では,性別(BV, SV[以下略])女性28例(57.1%), 18例(54.5%), n.s.,胎児診断16例(32.7%), 27例(81.8%), p<0.001,在胎週数(GA)(中央値[最小-最大][以下略]) 38.4(37.4-40.0)週, 38.0(36.7-39.4)週, n.s.,出生体重(bBW)2888(2546-3110)g, 2650(2339-2898)g, p=0.017,外科的手術介入29例(59.2%), 27例(81.8%), n.s.,手術時年齢6.7(0.8-15.1)歳, 0.0(0.0-0.1)歳, p=0.004, 早期興奮症候群合併12例(24.4%), 2例(6.1%), p=0.037,房室回帰頻拍合併9(18.4%), 3例(9.1%), n.s.,心房性頻脈性不整脈合併1例(2.0%), 10例(30.3%), p<0.001,観察期間8.2(3.4-11.5)年, 3.2(1.5-9.8)年, p=0.029,死亡1例(2.0%),8例(24.2%),p=0.004。SV群においては,胎児水腫(生存群25例,死亡群8例[以下略]) 2例(11.1%),1例(14.3%), n.s.,胎児不整脈2例(11.1%),1例(14.3%), n.s.,GA 38.4(36.8-39.4)週, 37.8(36.0-38.9)週, n.s.,bBW 2812(2380-2975)g, 2399(2310-2448)g, p=0.031,Circular shunt合併(CS) 7例(28.0%),2例(25.0%), n.s.,外科手術到達11例(100%),2例(25.0%), p<0.001。SV群の死亡リスク因子に対するCox回帰分析の結果は,在胎週数(ハザード比[HR][95%信頼区間,p値]以下略) 1.2(0.8-1.9,p=0.417),出生体重(/100g) 0.7(0.5-0.9,p=0.038),CS 1.3(0.2-6.9,p=0.760),AA 4.6(1.1-23.9,p=0.047)であった。【結論】EDのSVはBVに比べて死亡率と心房性不整脈合併率が有意に高かった。SV群の有意な死亡リスク因子は低い出生体重と心房性不整脈であった。重症EDに対する心房性不整脈を含めた治療戦略を再検討する必要がある。