[I-OR05-05] 最近10年間の当院における右側相同の中期予後
Keywords:右側相同, 無脾症, 心房錯位症候群
【背景】心房錯位症候群,右側相同(RIH)は,共通房室弁口,肺動脈閉鎖,総肺静脈還流異常などの複雑心奇形を伴う予後不良の疾患群である.
【方法】2010年4月から2021年12月までに当院に新生児入院したRIHについて,診療録を用いてその中期予後について後方視的に検討した.
【結果】RIH44例中36例が当院の胎児診断例だった.観察期間の中央値は3年7ヶ月(0日-11歳4ヶ月)で,3才時点のFontan術到達率は48%(19/39)で,手術時年齢は中央値2歳4ヶ月(1歳7ヶ月-4歳4ヶ月)だった.1歳時点の Glenn術到達率は60%(26/43)だった.15例(34%)が死亡しており,死亡時年齢の中央値2.0ヶ月(0日-6歳6ヶ月)と早期死亡が多かった.特に生後7日以内のTAPVC repair施行例は7例中5例を失っており,有意に死亡率が高かった(P<0.05).経皮的に垂直静脈または静脈管にステント留置した9例中全例で新生児期のTAPVC repairを回避できており,うち7例が生存(中央値3歳10ヶ月)している.出生時,中等度以上の房室弁逆流を 15例に認め,経過中に増悪した例も含め21例で房室弁形成術が,5例で房室弁置換術が行われたが,生命予後との相関は認めなかった.
【考察】生後早期からSPO2が保てず,TAPVC repairを要するような高度の肺静脈狭窄例は予後不良だった.ステントにより手術時期を遅らせることができるが,アプローチ困難な例が存在する.一方,房室弁形成術および置換術の既往は生命予後を悪化させなかった.
【結論】現在においても右側相同は予後の厳しい疾患群であり,特に生後早期にTAPVC repairを行う例は死亡率が高く,ステントを含めた治療戦略を模索する必要がある.
【方法】2010年4月から2021年12月までに当院に新生児入院したRIHについて,診療録を用いてその中期予後について後方視的に検討した.
【結果】RIH44例中36例が当院の胎児診断例だった.観察期間の中央値は3年7ヶ月(0日-11歳4ヶ月)で,3才時点のFontan術到達率は48%(19/39)で,手術時年齢は中央値2歳4ヶ月(1歳7ヶ月-4歳4ヶ月)だった.1歳時点の Glenn術到達率は60%(26/43)だった.15例(34%)が死亡しており,死亡時年齢の中央値2.0ヶ月(0日-6歳6ヶ月)と早期死亡が多かった.特に生後7日以内のTAPVC repair施行例は7例中5例を失っており,有意に死亡率が高かった(P<0.05).経皮的に垂直静脈または静脈管にステント留置した9例中全例で新生児期のTAPVC repairを回避できており,うち7例が生存(中央値3歳10ヶ月)している.出生時,中等度以上の房室弁逆流を 15例に認め,経過中に増悪した例も含め21例で房室弁形成術が,5例で房室弁置換術が行われたが,生命予後との相関は認めなかった.
【考察】生後早期からSPO2が保てず,TAPVC repairを要するような高度の肺静脈狭窄例は予後不良だった.ステントにより手術時期を遅らせることができるが,アプローチ困難な例が存在する.一方,房室弁形成術および置換術の既往は生命予後を悪化させなかった.
【結論】現在においても右側相同は予後の厳しい疾患群であり,特に生後早期にTAPVC repairを行う例は死亡率が高く,ステントを含めた治療戦略を模索する必要がある.