[I-OR06-05] 純型肺動脈閉鎖/重症肺動脈弁狭窄における主肺動脈End diastolic forward flow定量の意義
Keywords:主肺動脈拡張末期順行性血流, 右室拘束性循環動態, 心臓MRI
<背景>経胸壁心エコーにおける主肺動脈拡張末期順行性血流(End diastolic forward flow; EDFF)は右室拘束性循環動態を示すとの報告もあるが,エコーでは定量的な評価はされておらず,心臓MRI(CMR)ではEDFFの定量化が可能である.純型肺動脈閉鎖(PAIVS)/重症肺動脈弁狭窄(cPS)は二心室修復に到達しても,右室流出路や三尖弁に再介入を要することがあり,静脈圧高値のため1.5心室手術へのtake downを検討する症例もある.しかし,take downの適応基準については確立されていない.<目的>CMRによって定量化されたEDFFと,心エコー・カテーテルのデータを比較することで,PAIVS/cPSの1.5心室手術へのtake-down適応の判断指標となりうるか検討した.<対象>二心室修復を行ったPAIVS/cPSの10例.そのうちPAIVSが5例,cPSが5例であった.<方法>CMRで主肺動脈を関心領域として,Q flowのTime-Flow curveからEDFFを定量し,RVEDVI,RVESVI,肺動脈弁逆流率(%RF),三尖弁輪径(TV-Zscore),平均右房圧(mRAP),右室拡張末期圧(RVEDP)との関係について検討した.<結果>全例でEDFFを認め,中央値は1.75(0.21~10.0) mL/m2,総順行性血流(FF)に対する比(EDFF/FF)は中央値3(0.50~33.9)%であった.EDFF/FFとの相関分析ではRVEDVI 100(37.9~139) mL/m2でr -0.85,EVESVI 52.5(19.1~92.7) mL/m2でr -0.77,TV-Zscore -3.2(-6.0~0)でr -0.82と負の相関関係を示し,RVEDP 10(4~16) mmHgでr 0.81,mRAp 6(2~13) mmHgでr 0.79と正の相関関係を示した.1.5心室へのtake-downを施行または施行予定の2症例では,ともにEDFF/FFが高値を示していた.<結論>PAIVS/cPSの二心室修復術後におけるEDFFは,右室拘束性循環動態の程度を反映し,CMRによるEDFF定量は1.5心室手術へのtake-downの適応判断の指標の一つになりうる.EDFF/FF(%)のcut-off値についてはさらなる症例の蓄積が必要である.