The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

画像診断

一般口演07(I-OR07)
画像診断 II

Thu. Jul 21, 2022 4:20 PM - 5:10 PM 第6会場 (小ホール)

座長:稲毛 章郎(日本赤十字社医療センター 小児科)
座長:脇 研自(倉敷中央病院)

[I-OR07-02] 三尖弁閉鎖における僧帽弁複合体の解剖学的異常についての検討

安心院 千裕, 新居 正基, 石垣 瑞彦, 佐藤 慶介, 芳本 潤, 金 成海, 満下 紀恵, 田中 靖彦 (静岡県立こども病院)

Keywords:tricuspid atresia, mitral valve, pulmonary atresia

【はじめに】三尖弁閉鎖(TA)は心ループの形成後に房室弁の右方変位を伴わないことがその発生要因と考えられているが、左室に形成される僧帽弁複合体(MV)の異常については報告が少ない。今回我々は、TAに合併するMVの解剖異常について、心エコー図所見と術中所見から後方視的に検討を行った。また、同じ左室型単心室であるが、両側の房室弁形態が形成されている心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖(PAIVS)についても、比較のために僧帽弁複合体の解剖異常について検討を行った。【目的】TAとPAIVSにおけるMV異常の合併頻度とその特徴を明らかにすること。【対象】2010年以降で、静岡県立こども病院を受診し、心エコー図動画サーバー上でエコー動画が確認可能であった症例:TA:39例(男:女;1:1.05)(I型21:2型16;3型2),PAIVS:56例(男:女;1:0.75)。房室結合不一致の症例は除外した。【方法】心エコー図動画記録と手術記録から僧MVの解剖について評価(乳頭筋数、腱索異常、straddling、弁葉数、クレフト有無など)を行った。それぞれの異常の頻度を明らかにするとともに、TAとPAIVS間での比較を行った。【結果】MV異常の頻度:TA: 23/39例(59%); PAIVS: 4/56例(7%)(p=0.0)。TAの病型別MV異常合併頻度:1型(52%); 2型(63%) (p=0.35)。尚、MVに外科的介入を要したのは:TA:5(13%);PAIVS:3(3.5%)であり、有意差を認めなかった(p=0.20)。【考察】一般的にTA,PAIVSともにMV形態は正常であるとされるが、本検討ではTAで有意にMV異常の合併率が高く、乳頭筋数や弁葉数の異常、またはstraddlingなどの症例が多いことが判明した。中にはtriple orificeなどの弁葉の強い異形成を合併する症例も認めた。単心室疾患では良好なフォンタン循環を維持するためには、良好な房室弁機能の維持が不可欠である。TAではMV構造異常を合併する頻度が高いことから、術前の丁寧な観察が必要である。