第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

画像診断

一般口演07(I-OR07)
画像診断 II

2022年7月21日(木) 16:20 〜 17:10 第6会場 (小ホール)

座長:稲毛 章郎(日本赤十字社医療センター 小児科)
座長:脇 研自(倉敷中央病院)

[I-OR07-04] 2管球型CTを用いた、低被曝・低侵襲に冠動脈起始部の評価まで行える1歳未満の心臓CTの撮影方法

橋本 丈二1, 福永 佳浩1, 永田 貴紀1, 平野 暁教2 (1.福岡市立こども病院 放射線部, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:CT, 冠動脈, 低被曝

【背景.目的】1歳未満のCHD患者の冠動脈起始部の評価は困難であることが少なくなく、完全大血管転位(TGA)やTaussig-Bing奇形(TB)で最も重要になる。3DCTでは精細な画像は得られにくいが、鎮静下息止め4DCT(全心位相)撮影法ならば確実に得られる。しかし、高被曝(4~9mSv)と挿管下での呼吸管理を必要とする。多くの患者が最大限の利益を享受できるようにするには低被曝化・低侵襲化が必須である。4DCTの一種であるAdaptive Cardio Sequence(以後Ad.Sq)撮影法は、検出器幅(約3cm)の1回転であれば息止めせずに精細な画像が得られ、撮影する心位相を限定することで被曝も抑えられる。その一方で、Flash Spiral(以後Flash)撮影法は、胸部全体の3DCTを低被曝・自由呼吸下で撮影可能であるが、冠動脈起始部が不明瞭になることもある。当院では大半の疾患を、この二つの撮影法を連続で撮影するFlash+Ad.Sq撮影法で評価している。その経験を報告する。【方法】当院で2021年に1歳未満でFlash+Ad.Sq撮影法を行った131例にTGA・TB症例で4DCTを行った10例を加えて、後方視的に評価する。【結果】冠動脈起始部の描出率は、Flash撮影法は61.9%(1か月未満:半年未満:1歳未満=49.1%:64.2%:94.4%)平均1.3mSv、Flash+Ad.Sq撮影法は92.6%(同、87.0%:96.2%:100%)平均1.9mSvであった。TGA・TBの冠動脈起始部の描出率は、Flash+Ad.Sq撮影法で78%.平均1.5mSv、4DCT撮影法で100%.平均7.1mSvであった。【考察.結論】Flash撮影法に較べ、Flash+Ad.Sq撮影法は平均0.6mSvの被曝増加で描出率は30.7%向上した。TGA・TB症例であっても、低被曝を優先しFlash+Ad.Sq撮影法で評価した症例は9例あった。Ad.Sq撮影法の限界点として、自由呼吸下の2回転以上の撮影は呼吸による心臓位置の変化から重複や欠損が生じる事、全心位相の撮影はできない事などがあるものの、1歳未満の心臓CTはFlash+Ad.Sq撮影法で低被曝・低侵襲に冠動脈起始部の評価も可能である。