[I-OR08-01] サピエン3症例審査委員会
キーワード:経皮的肺動脈弁, 右室流出路導管, 症例審査委員会
【背景】エドワーズ サピエン3(S3)は2020年9月11日付で、外科的手術リスクの高い、先天性心疾患手術において植え込まれた右室流出路心外導管又は肺動脈弁位の生体弁の機能不全に適応拡大された。本品の適応は小児循環器内科医、心臓血管外科医、画像診断医からなる症例審査委員会によって審査される。【目的】症例検討委員会の現状について報告すること。【対象と方法】2021年12月時点までに症例検討委員会で審査された症例の概要と検討内容を要約した。【結果】症例1 21歳。修正大血管転位に対するダブルスイッチ手術後で高度の肺動脈弁逆流。画像診断計測された右室駆出分画が提示された数値と一致しない印象を指摘され、容量計測のトレース画像提出を求められた。拡張障害が主体と考えられ、また、外科手術が困難というほどの開胸リスクがあるとは言えないとの判定で保留となった。手技的にも難易度・合併症のリスクが高いことが指摘された。症例2 21歳。大動脈二尖弁に対するRoss手術後の肺動脈弁逆流。右室容積の計測値が見た目の印象と一致せず、再計測を求められた。また、再手術困難とするほどの右室機能不全とは評価しがたいとされた。導管一部にePTFEが使用されており、生体材料の導管というS3の適応に沿って留置すると、冠動脈圧排や自己組織に接触する可能性が指摘された。症例3 23歳。ファロー4徴術後の肺動脈弁逆流に対する生体弁置換術後の生体弁機能不全(狭窄)。右室機能低下により、外科治療のリスクは高く、S3留置の良い適応と判定された。【考察と結語】S3の現在の適応は、外科的手術リスクの高い、先天性心疾患手術において植え込まれた右室流出路心外導管又は肺動脈弁位の生体弁の機能不全である。心機能や手術歴からみた外科手術のリスク、導管の素材や想定されるS3の留置部位などが適応判定上の課題と考えられる。