[I-OR08-03] ファロー四徴におけるバルーン肺動脈弁形成術と右室流出路ステント留置術の位置付け
キーワード:ファロー四徴, ステント留置術, バルーン肺動脈弁形成術
【背景】海外の場合,ファロー四徴(TOF)に対して月齢3-12に施行された修復術の転帰は良好であるが,新生児期の低体重や肺動脈低形成などを伴う場合の死亡率は高い。これらのハイリスク児が重度チアノーゼや低酸素発作を呈した場合,一般的にBTシャント変法が施行されているが,特に新生児期の場合は死亡率が高い。その代替治療として,近年当院でも右室流出路ステント留置術などのカテーテル治療を施行している。【目的】当院で外科的/カテーテル治療をしたTOF症例の転帰を見返し,各治療法の位置付けを検討する。【方法】2006年7月-2021年8月に当院で外科的/カテーテル治療介入したTOF患児54例(初回介入時の年齢19日-2歳;体重2.6-13.3kg;女児21例)の初回介入治療別の転帰(生存および短期介入(術後3月以内の外科的/カテーテル治療)の有無)に関して後方視的に検討した。【結果】54例全例で術後死亡はなし。初回介入治療別に,TOF修復術群28例(年齢6月-2歳,体重5.4-13.3kg)全例に短期介入はなし。BTシャント群21例(年齢19日-6月,体重2.6-8.9kg)の内,2例は術後急性期に過肺血流からECMO装着したが,回復できた。姑息的右室流出路形成術を施行した1例(月齢2,体重3.3kg)も術後早期にECMO装着したが,回復できた。バルーン肺動脈弁形成術を施行した3例(体重2.4-3.0kg)の内,1例は1月後にBTシャントを追加した。右室流出路ステント留置術を施行した極低出生体重児1例(体重2.8kg)に短期介入なし。姑息治療をした26例は全例成長後にTOF修復術が施行された。【結論】TOF症例では,乳児期中期以降の心内修復術は安全に施行される。乳児期前半までの姑息術の内,特にBTシャントは術後の過肺血流に注意を要する。肺動脈弁下狭窄を伴わない場合のバルーン肺動脈弁形成術や弁下狭窄を伴う場合のステント留置術は酸素飽和度の改善効率が良く,低体重児でも安全に施行できる治療オプションである。