[I-OR08-05] 体重10kg未満の小児に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術
キーワード:経皮的心房中隔欠損閉鎖術, 低体重, カテーテル治療
【背景】心房中隔欠損症の乳幼児の一部には早期より体重増加不良、肺高血圧などを呈し治療を要する児が存在する。我々は本学会でも体格の小さい児に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術(TCASD)の安全性と有効性を報告してきた【目的】体重10kg未満でTCASDを要した症例と治療における特徴を評価する【方法】2017年1月から2021年12月の期間に当院でTCASDを施行した体重10kg以下の5例(L群)の患者情報や欠損孔詳細、治療内容や治療後経過に関して後方視的に検討し、治療した体重10.1-30kgの107例(C群)との群間比較を行った。観察期間中の二次孔欠損ASDの外科手術症例は5例で、いずれも後下縁欠損で体重は13-18kgであった。【結果1:10kg未満の治療】男女比1:4、治療適応は4例で-2SDを下回り続ける体重増加不良、1例では経時的な欠損孔拡大であり3例がDown症候群、1例がKabuki症候群を合併していた。中央値は年齢1.7歳(1.4-2.2)、体重8.2kg(8-8.7)、身長74cm(71-81)、欠損孔 9.7mm(6.9-15.9)、心房中隔長 29mm(27.8-30.5)で、留置デバイス径は13mm(9-13.5)。治療は全例でTEEガイドを行い1例のみICEを併用した。4例で手技成功したが1例のみデバイスが大動脈を圧迫するために治療を断念した。房室ブロックや心穿孔など危険な合併症はないものの留置後の1例で血小板減少を認めた。【結果2:対照群との比較】有意差を持って体重あたりの欠損孔径(1.2vs0.6)、治療前のRoss分類(2vs1)、NT-pro BNP(536.0vs119.2)、平均肺動脈圧(19vs16)がL群において高く、体重SD値(-2.3vs-0.4)がL群で低かった。一方でL群とC群の間に、Aortic rim以外のrim欠損の頻度や治療手技時間、バルーンアシストなどの治療中の追加手技やデバイスサイズ変更の頻度に有意差は認めなかった。治療後はL群においても良好な体重増加を認めていた。【考察】10kg未満の小児に対するTCASDは、症例を選べば年長児と同様に安全に行える。