[I-OR10-03] 先天性心疾患の周術期の心房性不整脈に対する心房抗頻拍ペーシング(Reactive ATP)デバイスの有用性
キーワード:周術期不整脈, 心房抗頻拍ペーシング, ペースメーカー
【背景】 先天性心疾患(CHD)の開心術周術期の心房不整脈(AT/AF)は血行動態を悪化させるため、その発症予防と早期対応は周術期管理上重要である。CHDのAT/AFに対する心房抗頻拍ペーシング(AATP)の有用性は報告があるが、先天性心疾患の開心術と同時に開始したAATPデバイスによる周術期AT/AFに対するAATPの効果は未知である。【目的】CHD患者の周術期AT/AFに対するAATPの効果を評価すること。【方法】単施設で開心術時に心筋リードを用いてペーシング機器(CIED)植え込みを施行し、かつ術直後よりAATPを開始したCHD患者について、周術期(術後1か月以内)におけるAATP作動状況、治療成功率や有害事象について後方視的に検討した。【結果】対象は、開心臓術時にAATP機能付きCIED植え込みが施行されたCHD39例:植え込み時年齢中央値32歳、観察期間2年。TCPC変換術を12例、弁置換術19例、AT/AFの既往31例、DCショック既往24例を含む。全例でAATPを手術後よりONに設定した。周術期AATP作動は8例(21%)で認めた。ATP作動群(8例)とATP非作動群(31例)の患者特徴に差は認めなかった。AATPのAT/AF成功率は89.6%(AT停止数/AT総数:103/115)と高く、術前DC歴のある6例中4例(67%)で周術期のDCショックを回避できた。DCショックを要した2例は術後縦郭内血種といった術後合併症を生じていた。AATPによる心室頻拍誘発や血行動態増悪などの有害事象は認めていない。【結論】AATPは周術期AT/AFにも安全かつ有効でありDCショック回避に寄与する。