[I-OR10-04] 右側副伝導路を有するWPWのアブレーション治療の検討 -心房電位指標と心室電位指標の比較-
キーワード:右側副伝導路, アブレーション, WPW
【背景】右側副伝導路WPWのアブレーション治療は再発率が高いことが問題となる。アブレーションの指標として心房電位指標と心室電位指標で治療成績に差があるのか比較検討した。【方法】2006年10月~2021年12月に当科で初回アブレーションを行った、小児・青年期の心形態異常のない両方向伝導の右側副伝導路を対象とした。心室pacing中の心房最早期電位を指標とした群をA群、心室最早期電位を指標とした群をV群とし、後方視的に検討した。急性期成功は順・逆伝導ともに離断したもの、再発はΔ波または頻拍が再出現したものとした。【結果】対象期間中に79人80の右側副伝導路を治療した。治療時年齢中央値9.4歳(7か月~18歳)、体重29.7kg(8.3~95.6kg)。間欠性副伝導路は28例、1例は両方向伝導性の右側副伝導路を2本有していた。全体の急性期成功率は99.0%、再発率は12.5%。A群は38(8.6歳、30.8kg)、V群は42(9.8歳、36.8kg)。2群間で急性期成功率(97.4% vs 100% p=0.29)や再発率(15.8% vs 9.5% p=0.40)に有意差はなく、通電回数や通電開始から離断までの時間の差異もなかった。副伝導路部位は前壁(三尖弁輪11-12時)が22、側壁(8-10時)が54、後壁(6-7時)が6で、側壁副伝導路のみで2群を比較するとA群では有意に再発率が高かった(6/32 18.8% vs 0/22 0.0%, p=0.03)【考察】右側副伝導路のアブレーションを心房電位指標で行う場合、副伝導路の心房端に直接アプローチできるが、カテーテルの先端を不安定な位置に置かなければならない。一方、心室電位指標で行う場合、カテーテルを比較的安定して配置することができるが、心室端は三尖弁を介する場所に存在するため、熱が伝わりにくい可能性がある。側壁副伝導路に関してはより安定して配置できる心室波最早期部位を指標とするのが効果的かもしれない。