[I-OR10-05] 小児のペースメーカー治療における心外膜リードに関する多施設検討
Keywords:ペースメーカー, 心外膜リード, リード不全
【背景】ペースメーカーの心外膜リードは経静脈リードよりも耐久性が劣るとされており、小児における経静脈リード適用が低年齢化している。一方経静脈リードは血管閉塞等長期的問題も多く、小児における最適リード植え込み法の選択は定まっていない。小児の心外膜リードの耐久性およびリード不全のリスク因子を多施設検討した。【方法】1997年から2021年の間に全国3施設で心外膜ペースメーカー植え込み術を施行された18歳以下の小児例を対象とし、背景疾患、植え込み手術、フォローアップデータについて後方視的に検討した。一次リード不全は断線や閾値上昇、二次リード不全は感染等によるリード交換と定義した。【結果】症例は101例、総リード数212本であった。ペースメーカー植え込みの適応は房室ブロック63例(先天性17例、術後42例、心筋炎後3例、アブレーション後1例)、洞不全38例であった。初回植え込み手術時の年齢の中央値は1.8(0-17)歳、体重は中央値8.5(1.8-64)kgであった。中央値6年(0-33)年のフォロー中にリード不全は24例認めた。リード不全は総植え込みリード212本中39(18%)本、内30(14%)本が一次リード不全、9(4%)本が二次リード不全によるものであった。リード耐久性は1年、5年、10年で96.5%、84.3%、67.8%だった。一次リード不全発生の平均年齢は11歳、26/30例は5歳以降に発生した。一次リード不全のリスク因子解析では、単変量解析では正常心 (OR 2.61,CI1.1-5.9,p=0.02)、5歳未満の植え込み(OR 1.2, CI 0.5-2.8,p=0.6)、植え込み時からの身長変化(OR 1.01, CI 1.0-1.03,p=0.13)であり、多変量解析で有意差はみられなかった。【結論】心外膜リードの耐久性は5年で84.3%と良好であり小児における初回植え込みに適していると思われる。一次リード不全の多くは5歳以降に発生していたが、成長に伴う発生リスクは明らかにならなかった。