第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

電気生理学・不整脈

一般口演11(I-OR11)
電気生理学・不整脈 II

2022年7月21日(木) 15:10 〜 16:00 第7会場 (ルーム204)

座長:豊原 啓子(東京女子医科大学 循環器小児科)
座長:安田 東始哲(やすだクリニック小児科・内科 小児科)

[I-OR11-01] Fontan術後遠隔期至適心拍数の検討

宮﨑 文, 藤本 欣史, 小野 安生, 満下 紀恵, 田中 靖彦 (静岡県立総合病院移行医療部成人先天性心疾患科)

キーワード:Fontan, 心拍数, ホルター心電図

【背景】Fontan (F)術後、洞機能不全の発生率が高い。しかし、F循環における至適な心拍数 (HR)は明らかでない。F循環の至適HR基準の設定で、洞機能不全を早期に抽出、速やかな治療介入を促し、良好なF循環維持が期待され得る。【目的】F術後遠隔期における至適HRを同定すること。【方法】2019年以降ホルター心電図を施行したF患者44人のうち、徐脈および徐脈を来す薬剤内服のない24人をGood physical status (GP), Good hemodynamics (GH), Excellent status (ES)に分類し、ホルター心電図 (hECG)・心肺運動負荷試験 (CPX)でのHRを検討した。GPは重大な合併症による予定外入院既往かつ肝硬変なし、GHは血行動態異常なし、ESはGPかつGHと定義した。HR reserve (HRr)はH-ECGでの最大 (max)と最小 (min)、CPXでの安静時 (rest)とmax HRの差とした。【結果】hECG時年齢 30.2±6.7年, F術後経過年数21.0±2.2年。ES群のHRはhECG (n=16)でmin; 51.6±9.3, max; 138.1±15.1, 平均 (mean); 79.9±8.4, HRr; 86.5±20.8 bpmで、CPX (n=7)でrest; 80.1±7.9, max; 160.6±17.6, HRr; 80.4±22.2 bpmであった。Non-ES群との比較で、CPX (n=7)のrest (90.3±9.3 bpm, p<0.05), max (140.6±9.7 bpm, p=0.02), HRr (50.3±15.0 bpm, p=0.01)に差を認めた。GP群, non GP群の比較では、hECGに差なく、CPXでrest (GP (n=9); 81.1±7.8 vs. non-GP (n=5); 92.6±9.2 bpm, p=0.03), max (157.6±16.6 vs. 138.0±10.0 bpm, p=0.03), HRr (76.4±20.8 vs. 45.4±15.2 bpm, p=0.01) に差を認めた。【結論】F患者遠隔期のhECGにおける至適HRはmin; 51.6±9.3, max; 138.1±15.1, mean; 79.9±8.4, HRr; 86.5±20.8 bpmあたりにあると推測され、活動時のHR増加が望まれる。