[I-OR12-02] 小児せん妄を発症した心疾患術後患者
キーワード:小児せん妄, 早期リハビリテーション, PICU
【背景】せん妄は急性の脳機能障害であり、小児では評価がされず不穏と誤認される場合がある。当院では2018年からPICUにおける早期リハビリテーション(早期リハ)を導入し、最近ではせん妄の評価も実施して必要があればPICU退室後もリハビリを継続している。【方法】2020年10月から2022年2月に当院PICUに入室した心疾患術後患者183名を対象とし、小児せん妄と診断された7名を検討した。Richmond Agitation-Sedation Scale(RASS)-3以上の鎮静深度で、Cornell Assessment of Pediatric Delirium(CAPD)の合計点が9点以上をせん妄と診断した。また、Medical Research Council(MRC)を使用して筋力低下を診断した。【結果】性別は男/女が4/3名、年齢は1-2歳(中央値1.3歳)、診断は単心室症3名、肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損2名、両大血右室起始症1名、心筋症1名、術式はフォンタン手術3名、ラステリ手術2名、心室内血流転換術1名、ECMO装着1名であった。せん妄の診断時期は術後4-12日目(中央値5日目)、せん妄期間は3-45日間(中央値7日間)、PICU在室期間は4-32日間(中央値16日間)、入院期間は14-68日間(中央値26日目)で、全例が筋力低下を認め、ICU-acquired weakness(ICU-AW)と診断された。関連因子として、気管挿管期間 は1-11日間(中央値1日間)、鎮静薬の使用(重複あり)は筋弛緩薬3名、フェンタニル 7名、デクスメデトミジン 7名、ミダゾラム 4名、ステロイド使用は2名、合併症(重複あり)は急性胃粘病変による消化管出血2名、乳糜胸1名、間質性肺炎1名、血気胸1名であった。せん妄期間は、関連因子に相関はなかったが、PICU在室期間(r=0.91, p=0.005)と入院期間(r=0.93, p=0.002)に有意な相関を認めた。【考察】せん妄を発症した場合、ICU-AWを合併し、PICU在室期間や入院期間が長かった。PICU入室中の早期から介入して、小児せん妄を早期発見、早期治療することが重要である。