[I-OR12-03] 小児心臓手術術後管理における呼吸理学療法により、呼吸器合併症は軽減するか。
キーワード:呼吸理学療法, 集中治療, 無気肺
【背景】当院では2019年1月より、集中治療室(ICU)において以下の要領で理学療法士による積極的な呼吸理学療法を行っている。ICU入室後循環動態の安定が確認され次第、頭部挙上による体位ドレナージを中心に左右側臥位とする。必要に応じて腹臥位も導入し、それぞれ2時間を目安に体位変換を行う。抜管後も引き続き継続する。【目的】当院で施行している術後早期の呼吸理学療法の効果について、後方視的に検討した。【方法】2016年9月から2020年9月までに当院で施行された2歳以下の心臓血管手術症例のうち、Heterotaxy、重症気道狭窄やECMO使用症例を除いた連続49例を対象とした。2018年12月以前の施行症例を非介入群(28例(うち21 trisomy10例)RACHS-1 category 1=8例 2=6例 3=12例 4=2例、平均体重6.4kg)、2019年1月以降を介入群(21例(うち21 trisomy5例)RACHS-1 category 1=0例 2=14例 3=5例 4=2例、平均体重6.1kg)として、比較検討を行った。【結果】平均挿管期間非介入群2.6日:介入群3.3日、ICU滞在期間5.6日:4.1日、入院期間17.1日:16.6日であった。無気肺発症は7例(25%):2例(9.5%)に認め、改善にそれぞれ6.3日:1.0日を要した。1肺区域以上の完全閉塞を伴う無気肺は4例(14.2%):0例、再挿管は2例(7.1%):0例であった。【結論】術後早期からの呼吸理学療法を導入後、無気肺の発生および再挿管件数は減少した。また無気肺を発症した際には介入群ではより早期の改善が見られた。積極的な呼吸理学療法により呼吸器合併症の減少が期待できる可能性が示唆された。