[I-OR12-04] 開心術後バソプレシンの昇圧効果と虚血性合併症
キーワード:バソプレシン, 虚血性病変, 周術期管理
【背景】開心術の周術期低血圧に対しノルアドレナリン(NAD)が第一選択となることが多く、バソプレシン(AVP)は虚血性合併症の懸念から使用に慎重な施設は少なくない。
【目的】当院における開心術周術期AVPの昇圧効果と虚血性病変について後方視的検討結果を報告する。
【方法】電子診療録による後方視的検討。期間、2014年から2021年。対象、開心術後に当院ICUへ入室した症例。周術期にECMO補助を要した症例は除外。AVPの開始時期、使用量、使用前後での血圧、カテコラミン併用の有無とAVP投与後の虚血性病変の有無について検討。
【結果】期間内の心臓血管外科開心術696例中84例にAVPは使用され、ECMO補助症例14例とdata収集が困難だった1例を除いた69例を検討対象とした。69例の月齢中央値は5ヶ月、AVP開始は手術当日(中央値)、投与量は0.45 ± 0.3 mU/kg/min、終了は第2病日(中央値)、期間中の最大投与量は0.63 ± 0.42 mU/kg/minだった。AVP投与中、アドレナリン(AD) 66例 (0.08 ± 0.04γ)、ミルリノン(Mil) 66例 (0.5 ± 0.14γ)、NAD 6例(0.08 ± 0.05γ)併用していた。AVP投与前の平均血圧(MBP)は43.6 ± 7.3 mmHg, 投与後1時間、および2時間のMBPは投与前と比較してそれぞれ117.0 ± 18.7 %, 122.0 ± 19.5 %と有意に上昇したが(p<0.01)、8例はAVP投与後にMBPが低下していた。AVPにAD, Mil, NADを併用した1例に心筋虚血所見を認めた。
【結語】AVP使用例の内、88%で血圧上昇を認めた。虚血性病変は1.4%で生じたが、その後自然に回復した。AVPは開心術周術期においても有意な昇圧効果を示しており、血管収縮薬の選択肢になり得ると思われる。
【目的】当院における開心術周術期AVPの昇圧効果と虚血性病変について後方視的検討結果を報告する。
【方法】電子診療録による後方視的検討。期間、2014年から2021年。対象、開心術後に当院ICUへ入室した症例。周術期にECMO補助を要した症例は除外。AVPの開始時期、使用量、使用前後での血圧、カテコラミン併用の有無とAVP投与後の虚血性病変の有無について検討。
【結果】期間内の心臓血管外科開心術696例中84例にAVPは使用され、ECMO補助症例14例とdata収集が困難だった1例を除いた69例を検討対象とした。69例の月齢中央値は5ヶ月、AVP開始は手術当日(中央値)、投与量は0.45 ± 0.3 mU/kg/min、終了は第2病日(中央値)、期間中の最大投与量は0.63 ± 0.42 mU/kg/minだった。AVP投与中、アドレナリン(AD) 66例 (0.08 ± 0.04γ)、ミルリノン(Mil) 66例 (0.5 ± 0.14γ)、NAD 6例(0.08 ± 0.05γ)併用していた。AVP投与前の平均血圧(MBP)は43.6 ± 7.3 mmHg, 投与後1時間、および2時間のMBPは投与前と比較してそれぞれ117.0 ± 18.7 %, 122.0 ± 19.5 %と有意に上昇したが(p<0.01)、8例はAVP投与後にMBPが低下していた。AVPにAD, Mil, NADを併用した1例に心筋虚血所見を認めた。
【結語】AVP使用例の内、88%で血圧上昇を認めた。虚血性病変は1.4%で生じたが、その後自然に回復した。AVPは開心術周術期においても有意な昇圧効果を示しており、血管収縮薬の選択肢になり得ると思われる。