[I-P1-1-03] 胎児診断を行ったCantrell症候群の臨床経験
Keywords:Cantrell症候群, 心臓脱, 肝臓脱
【背景】Cantrell症候群は臓器脱などを伴うことが多く、予後不良とされる。先天性心内構造、心外奇形としても多彩な症状を合併し、治療が困難なことが多い。【目的】胎児診断を行ったCantrell症候群の4例を経験した。多彩な臨床経過であったため経過報告する。【結果】<症例1> 胎児期に右胸心、VSDを指摘。妊娠40週、帝王切開で仮死なく3400gにて出生。出生後、臓器脱は認めず、心疾患は胎児診断と同診断。腹部所見として白線ヘルニアを認めた。生後1ヶ月に肺高血流となり根治術を検討したが、心臓位置異常のため経右心房アプローチが困難と判断し、肺動脈絞扼術が施行された。術中所見にてCantrell症候群の診断。<症例2>胎児期に心臓脱、DORV、大動脈低形成を指摘。妊娠38週、経膣分娩で仮死なく2600gにて出生。出生後、心臓脱を認め、心疾患は胎児診断と同診断。単心室修復の方針。日齢1にNorwood手術を施行。現在はGlenn手術施行し、Fontan手術に向け待機中。<症例3>MD双胎の一児。胎児期に心臓脱、肝臓脱を指摘されCantrell症候群の診断。臓器逸脱の程度が大きく、腹水・胸水貯留、肺低形成が顕著であった。心内構造はTOFの診断。臓器脱出の程度から出生後の治療は困難と考えられた。MD双胎の健常児の胎児仮死兆候のため、妊娠30週、緊急帝王切開で出生。蘇生処置は行わず、まもなくして永眠された。<症例4> 胎児期に肝臓脱、横隔膜ヘルニアを認めCantrell症候群の診断。心疾患としては、肝臓脱に伴い下大静脈が体腔外まで脱出を認めた。現在は、分娩治療計画立案中。【考察】本症候群における予後予測因子として、先天性心疾患の生存率が向上している現在においては臓器の脱出の程度に起因するものと考えられた。【結論】当院で経験した4例において、いずれも臨床症状は多彩であった。臓器脱を伴わない軽症例の場合も、外科的介入に難渋する例があり注意を要する。