第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

胎児心臓病学

ポスター発表(I-P1-1)
胎児心臓病学 I

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:00 ポスター会場

座長:石井 徹子(千葉県こども病院 循環器内科)
座長:河津 由紀子(福山市民病院 小児科)

[I-P1-1-04] 左腕頭動脈孤立症・左鎖骨下動脈孤立症の胎児診断について

加地 剛1, 早渕 康信2 (1.徳島大学病院 産科婦人科, 2.徳島大学病院 小児科)

キーワード:左腕頭動脈孤立症, 左鎖骨下動脈孤立症, 動脈管

左腕頭動脈孤立症/左鎖骨下動脈孤立症はともに右側大動脈弓(RAA)に合併する稀な分岐異常である。胎児期は、左腕頭/左鎖骨下動脈は動脈管を介して、肺動脈から分岐している。出生後は動脈管が閉鎖するため左腕頭/左鎖骨下動脈は孤立し、脳から逆行性に流れる。今回、3例の胎児診断例(左腕頭動脈孤立症1例、左鎖骨下動脈孤立症2例)を経験したので胎児超音波診断について報告する。【症例1:左腕頭動脈孤立症】妊娠32週に里帰り分娩のため初診、RAAを認めた。動脈管は右肺動脈から分岐して気管の右側を通る右動脈管であった。一方左肺動脈起始部付近から頭側へ向かう血管を認めた。この血管は頭側に走行した後、左鎖骨下動脈を分岐し、左総頚動脈となった。以上から左腕頭動脈孤立症と診断した。出生後、胎児診断が確認された。【症例2:左鎖骨下動脈孤立症、ファロー四徴症(TOF)】妊娠23週に妊娠糖尿病が疑われ初診。TOFが疑われ、RAAも認めた。大動脈に繋がる動脈管は描出されなかった。一方、左肺動脈の起始部付近から分岐し頭側へ向かう血管を認めた。この血管は左上肢に入ったため左鎖骨下動脈孤立症と診断した。出生後、胎児診断が確認された。【症例3:左鎖骨下動脈孤立症、TOF】妊娠14週にNTの増大のため初診。羊水検査にて46,XX, add(5)(q31)であった。18週にTOFとRAAを認めた。大動脈に繋がる動脈管は描出されなかった。20週左肺動脈の起始部付近から分岐し頭側に向かった後、左上肢に行く血管を認めたため、左鎖骨下動脈孤立症と診断した。人工妊娠中絶が行われた。解剖は希望されなかった。【結論】いずれの症例も正常の(左)動脈管が描出されず、左肺動脈の起始部付近から頭側に向かう血管として描出された。胎児RAAにおいて、正常の(左)動脈管がないことを確認し、左肺動脈起始部付近から頭側へ走行する血管を描出することで左腕頭動脈孤立症/左鎖骨下動脈孤立症は診断可能である。