[I-P1-1-07] 異なる症状を呈した胎児期卵円孔狭小化の3例
Keywords:卵円孔狭小, 左心低形成, 胎児心エコー
【はじめに】胎児期の卵円孔狭小化は左心系の低形成や胎児水腫の原因となると言われている。今回異なる症状を呈した卵円孔狭小化の3例を経験した。【症例1】在胎33週2日に卵円孔狭小化、左室縮小と診断した。大動脈縮窄は認めなかった。在胎33週5日に胎児variability低下のため緊急帝王切開で出生。出生体重は824gであった。浮腫や循環不全は認めなかった。三尖弁輪径/僧帽弁弁輪径比(TVD/MVD)は0.63であった。日齢2から多呼吸を認めたが肺出血なく、時間経過と共に改善した。【症例2】近医産院で母体管理されており、胎児期に異常指摘はなかった。在胎39週に胎児心音の低下のため緊急帝王切開で出生。出生体重は3742gであった。全身の浮腫を認めたため当院NICUへ搬送された。入院時の超音波検査で左室縮小を認めたため循環器医へ診察依頼があり、卵円孔狭小化と診断した。大動脈縮窄はなく、TVD/MVDは0.54であった。浮腫は高度であったが利尿は良好で循環不全もなかったため利尿剤や循環作動薬などの投薬は行わず経過観察とした。浮腫は徐々に改善し呼吸不全も起こることなく経過した。【症例3】在胎37週に胎児エコーで卵円孔狭小、左室縮小、大動脈縮窄症を指摘され当院へ母体紹介となり、在胎38週に経腟分娩で出生。出生体重は3116gでTVD/MVDは0.63であった。血圧の上下肢差は認めなかったが大動脈のisthmusは2.5mmと細かったためlipo-PGE1投与を行った。心収縮低下(LVFS 0.21)も認めたためドパミンの投与も行った。生後は肺高血圧の遷延や多呼吸を認めたが肺出血や循環不全となることはなかった。lipo-PGE1を中止しPDAが閉鎖しても大動脈縮窄が顕在化することはなかった。【まとめ】胎児期の卵円孔狭小化では左心低形成症候群をはじめとする左心系の異常、胎児水腫などの右心系の異常と様々な症状を呈する。発症時期が関与するといわれている。重症な場合もあるため早期の診断を要するが困難な場合も多い。