[I-P1-2-03] 動画化した全時相造影CTが経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)効果予測に有用だった両大血管右室起始症の1例
Keywords:全時相CT, PTPV, 両大血管右室起始症
【背景】一般に漏斗部中隔欠損を伴う肺血流減少性心疾患では弁下狭窄が生じにくいが,DORVなどで流出路形態が複雑な場合には,弁下狭窄の程度がエコーで評価しにくい場合がある.PTPVを施行した場合,狭窄解除による高肺血流、弁下狭窄増悪による低酸素血症双方の可能性があり、右室流出路の3次元的な形態評価が求められる.【症例】在胎33週1日、出生体重1174gの男児。DORV,AoとPAがほぼside by sideで,VSDは漏出部中隔欠損でありdoubly commited VSDと診断した.心エコーでは,弁狭窄,狭小弁輪(4.5mm)を認めたが,弁下狭窄の程度の評価が不明確であった.体重増加に伴い低酸素血症が進行し,日齢47、体重1760gでBTシャントを念頭に造影CTを施行,その際,冠動脈の評価を兼ねて心電同期下全心周期撮影を行った.低体重によるBTシャントのリスクを勘案し,PTPVの可能性を模索するため,CTのデータを流用し、Ziostation2のPhyZiodynamicsで時間軸方向の動きを補完、右室流出路から肺動脈内腔の動画化した3D画像への再構成を試みた。同画像により,肺動脈弁下狭窄は軽度であり,収縮期・拡張期で視覚的に評価可能であった。PTPVにより弁狭窄を解除することにより低酸素血症は改善し、狭小弁輪により肺血流は制御され、高肺血流のリスクも低いと考えられた。TMP-PED 6mm/2cmにてPTPVを施行し、肺動脈弁は拡張され,動脈血酸素飽和度は80%から98%に上昇、人工呼吸器から離脱可能となり、高肺血流による心不全は認めなかった.最終的に,日齢75、体重2.3kg までBTシャントを待機することが可能であった.【結語】本症例では,冠動脈の評価目的で得た心電同期下全心周期撮影の画像データを利活用することにより得られた3D・動画がPTPVの効果予測の一助となった.