[I-P1-2-08] 胎児期から診断された血管輪に対する手術介入指標と気管成長へ与える影響の検討
Keywords:血管輪, 気管断面積, 手術指標
【背景】胎児エコー技術の発展に伴い胎児期から血管輪の診断がなされる症例が増加している.しかし出生後に無症状で経過している症例の管理方法や手術時期については明確な指針は未だない.【目的】血管輪の児に関して気管圧迫の程度を定量的に評価し,気管成長や症状出現との関連を調査する.【方法】2016年1月から2021年12月までに右側大動脈弓・左鎖骨下動脈起始異常・左動脈管による血管輪と診断された8患者11検査を後方視的に抽出した.気管圧迫の程度を定量化するため造影CT検査における気管最狭部である第4胸椎レベルの気管断面積を身長で除して修正気管断面積(corrected tracheal area: cTA (mm2/cm))とし指標とした.またcTAの基準値作成のため血管輪以外の理由で造影CTを撮像した患者データから同一胸椎におけるcTA年齢別対照曲線を作成した.気道症状により手術を要した症例(A群)と,それ以外の症例(O群)の対応年齢対照平均値とのcTA差分を比較しカットオフ値を算出した.【結果】対象となった検査はA群3検査,O群8検査だった.各群のcTA / cTA差分(平均±標準誤差)は, A群0.313±0.005 / 0.280±0.036,O群0.416±0.023 / 0.149±0.024(p=0.029 / p=0.018)だった.cTA差分を用いたROC曲線では閾値を0.213に設定した場合,曲線下面積0.92(95%CI: 0.72~1.0),特異度100%,感度75%となった.【結語】cTA差分により診断時期に関わらず気道症状出現の予測が可能であり、出生後に無症状で経過する血管輪症例において本指標は手術決定に役立つと考えられた.今後,適切な時期に手術介入することで気管の成長が得られるのか評価を継続する予定である.