[I-P1-2-09] スペックルトラッキング法を用いた経皮的肺動脈弁形成術後の肺動脈弁狭窄、心室中隔欠損を伴わない肺動脈弁閉鎖における経時的右房・右室機能評価
Keywords:スペックルトラッキング, 右室機能, 右房機能
【緒言】重症肺動脈弁狭窄(cPS)や心室中隔欠損を伴わない肺動脈弁閉鎖(PAIVS)における経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)の右房(RA)・右室(RV)機能への影響は明らかでない.【目的】二次元スペックルトラッキング法(2DSTE)を用い, cPS/PAIVSにおけるPTPV後のRA・RV機能の病態生理を明らかにすること.【対象】2021年5月以降に当院でPTPVを行った5例(cPS: 3例、PAIVS: 2例).【方法】PTPV前(pre), PTPV後3ヶ月以内(<3m ), 3ヶ月以降(>3m)にVivid E90/95(GEヘルスケア)で得られた四腔断面像から, 2DSTEによりRAおよびRVのtotal strain(TS); 収縮期strain rate(SRs); 拡張早期SR(SRe); 拡張末期SR(SRa)を計測した. また, 従来の右室機能指標としてFAC; TAPSE; 拡張早期期(E)/末期(A)三尖弁流入血流速度; 組織ドップラー法での三尖弁輪収縮期 (s’) /拡張早期(e’)運動速度; 三尖弁流入時間(TVIT); E/e’を計測し, 統計学的検討を行った.【結果】pre (n=5), <3m(n=4), >3m (n=4)の解析を行った. <3m, >3mのPTPVからエコーまでの期間は中央値でそれぞれ1.6(0.8-2.5), 4.9(3.9-8.1)ヶ月であった. 結果は全てpre vs. <3m vs. >3mの順で記載した. RVのTS, SRsはそれぞれ14.3±6.2 vs. 18.6±5.7 vs. 26.1±5.5% (P=0.040), -1.03±0.40 vs. -1.35±0.59 vs. -1.68±0.39/cm (P=0.163) であった. RAのTS, SRsはそれぞれ26.8±7.5 vs. 32.6±9.4 vs. 37.5±5.4% (P=0.160), 1.98±0.41 vs. 2.18±0.58 vs. 2.55±0.70/cm (P=0.163) であった. FACは有意な改善を認めた(0.17±0.13 vs. 0.41±0.05 vs. 0.52±0.12 (P=0.002))が, TAPSE, RVs’は有意な改善は認めなかった. RVE/e’, RR時間で補正したTVITはそれぞれ12.6±3.2 vs. 10.0±4.9 vs. 9.1±4.9 (P=0.6), 31.0±4.6 vs. 41.5±4.6 vs. 43.8±3.8%(P=0.007)であった.【結語】従来の評価方に加え2DSTEを用いる事でcPS/PAIVSでのPTPV後のRA/RV機能の経時的な改善が示唆された.