第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

画像診断

ポスター発表(I-P1-3)
画像診断 II

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:00 ポスター会場

座長:市橋 光(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科)
座長:大月 審一(岡山大学病院 小児科)

[I-P1-3-05] 非造影radial SSFPと4D flow MRIによる肺動静脈瘻孔の評価

稲毛 章郎1, 中井 亮佑2,4, 水野 直和3, 吉敷 香菜子2, 小林 匠2, 齋藤 美香2, 浜道 裕二2, 上田 知実2, 矢崎 論2, 嘉川 忠博2 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.榊原記念病院 小児循環器科, 3.榊原記念病院 放射線科, 4.福岡市立こども病院 循環器科)

キーワード:Fontan循環, 肺動静脈瘻, 4D flow MR I

肺動静脈瘻を非造影radial SSFPと4D flow MRIにて評価した症例を経験した。診断は polysplenia, dextrocardia, {I.D.D}, DORV, MA, PA, bilateral SVC, IVC interruption with hemiazygos connection, hemi Fontan後, total cavopulmonary shunt(TCPS) with hepatic inclusion後, pulmonary arteriovenous fistula(PAVF), lt.PA plasty後であった。
経過: 3歳時にhemi Fontan,5歳時にTCPSを行い, 術後カテーテルで左PAVFと診断された. 13歳時に肝血流が左PAへ流れるようにPA plastyを行い, その後のカテーテルではPAVFの増悪は認めなかった. チアノーゼの進行があり33歳時に榊原記念病院にて心臓MRIを行った.
MRI所見: Siemens社製MAGNETOM Sola 1.5Tで撮像し, 4D flow MRIはCardio Flow Design社製 iTFlow 1.9にて解析した. 非造影・非心電同期radial steady-state free precession(SSFP) は, bilateral SVC, hemiazygos connection, TCPS with hepatic inclusionが明確に画像化された. Radial SSFP画像に4D flow画像を併せて血流解析を行ったところ, 肝血流を含むTCPS血流は右PAには流れているが, 左PAへは殆ど流れておらず, hemi-azygos veinと左SVCからの血流が左PAに流れているのが観察された. またTCPSでのenergy lossの増加とkinetic energyの減少, 逆にhemiazygos veinでのenergy lossの減少とkinetic energyの増加を認め, TCPSでのenergy loss curveは変曲点の多い特異な変化を示した.
結果: 左PAには肝血流を含んだTCPSからの血流が殆ど流れておらず, 左CAVFの増悪が 示唆された. Energy lossの少ない肝血流を含まないhemiazygos veinからの血流が左PAへ流れているのが明らかになった.
結論: 非造影・非心電同期radial SSFP画像に4D flow画像を併せることにより, 短時間での血流動態評価が可能であった. 外来経過観察中にカテーテル検査を施行せずに, 非侵襲的な非造影MRIにてCAVFの増悪を示すことが出来た.