The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター発表(I-P1-4)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 I

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:澤田 博文(三重大学大学院 小児科)
座長:星野 健司(埼玉県立小児医療センター 循環器科)

[I-P1-4-02] シルデナフィル既報母集団薬物動態モデルの適応性の検討と新規モデルの構築

若宮 卓也1, 池川 健1, 岩野 麗子2, 南 あかり3, 小林 洋介3, 吉門 崇3, 岡田 賢二3, 岡 美佳子3, 千葉 康司3, 上田 秀明1 (1.神奈川県立こども医療センター 循環器内科, 2.神奈川県立こども医療センター 臨床研究所 疫学研究部, 3.横浜薬科大学 臨床薬理学研究室)

Keywords:シルデナフィル, 血中濃度, 母集団薬物動態解析

【目的】シルデナフィルの注腸投与は適応外使用ではあるが、先天性心疾患の術後患者に一般的に行われている。しかし、投与量に関する明確なエビデンスはない。本薬の薬物動態は、代謝酵素(CYP3A4)活性の変動の影響を受ける。本研究では、シルデナフィル経口投与または直腸内注入後、血漿中濃度モニター時に得られたデータを用い、既報の母集団薬物動態 (PPK) モデルによる予測の適用性についての検討と、新規PPKモデルの構築を行い、注腸投与量を設定することを目的とした。【方法】経口投与後のPAH患児 (体重の平均12.4 kg, 範囲2.6-36 kg) 25名と直腸内注入後のPAH患児 (体重の平均7.04 kg, 範囲3.3-13.1 kg) 14名から得られたシルデナフィルの血漿中濃度 (経口:54時点, 直腸内注入:90時点) を液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)により測定した。既報の小児経口投与PPKモデル1) (体重の平均3.57kg, 範囲2.0-5.1kg)および小児直腸内注入PPKモデル2) (体重の平均3.41kg, 範囲0.59-8.06kg) を用いて、対応する患児の投与量および体重から、各患児の採血時点におけるシルデナフィル血漿中濃度のシミュレーション値を得て、観測値と共にprediction-corrected visual predictive check(pcVPC)法により補正した後比較した。【結果・考察】経口投与に関してはPPKモデルを新規に構築したところ、良好な予測性能を示した。一方、注腸の既報モデルでは、実測値と予測値は良く一致した。このPPKモデルからAUCpo/AUCir=CLir/CLpo=0.305。即ち直腸投与では経口の約1/3の投与量という結果であった。尚、CYP3A4誘導能があるボセンタン併用患者において、血中濃度が低下する傾向は観測されなかった。【結論】経口投与における新規モデルおよび直腸内注入後の既報小児PPKモデルは、当該観測値の測定において、良好な予測性能が認められ、PAH小児患者における投与量設定に役立つものと期待される。