[I-P1-4-06] 成人先天性心疾患患者に対するマシテンタンの使用経験
Keywords:マシテンタン, 肺高血圧, 成人先天性心疾患
【背景】肺高血圧(PH)は先天性心疾患(CHD)患者の予後を左右する重要な合併症の1つである。標的治療薬はアイゼンメンジャー症候群、treat and repair症例、シャント修復術後残存PHに使用され有効であったと報告されているがマシテンタンを使用した報告は少ない。【目的】CHD患者に対するマシテンタンの使用経験を報告する。【方法】2016年から2022年の間に当院でマシテンタンを使用した18歳以上のCHD患者39人を対象として診療録を後方視的に検討した。【結果】平均年齢は39歳(19-68)、男性が9人(23%)、疾患はFontan手術後13例(33%)、アイゼンメンジャー症候群11例(28%)、PH合併した心房中隔欠損症6例(15%)、体肺動脈側副血管を合併したフォロー四徴症術後4例(10%)、未手術/姑息術後3例(8%)、左心性心疾患に合併するPH2例(5%)であった。使用目的はチアノーゼ改善14例(36%)、failing-Fontan治療13例(33%)、右心不全治療6例(15%)、treat and repair6例(15%)であった。使用方法はPHに対する標的治療薬の1剤目が11例(28%)、2剤目が13例(33%)、他剤(ボセンタン9例)からの変更が15例(38%)であった。臨床症状の改善は経皮的酸素飽和度の上昇を6例(15%)、易疲労改善を6例(15%)に認めた。副作用は10例(26%)に認め、その内訳はほてり3例(7%)、頭痛2例(5%)、嘔気2例(5%)、低血圧症状1例(2%)、四肢痛み1例(2%)であり、重篤な副作用はFailing-Fontan患者に心不全増悪を1例(2%)認め投与を中止した。【結論】CHD患者においてマシテンタンは主にアイゼンメンジャー症候群のチアノーゼ改善、failing-Fontan治療として使用し臨床的有効性を認めた。軽度の副作用は認めるが重篤な副作用は少なく内服の忍容性は高いと考えられる。