[I-P1-5-01] 学童期のフォンタン患者における心室形態がCPET指標に与える影響
Keywords:フォンタン術後, 心肺機能検査, 心室形態
【背景】フォンタン患者の長期予後に関する検討では, 右室型単心室（Right Ventricle Morphology：RVM）に比し左室型単心室（Left Ventricle Morphology：LVM）の方が予後良好とされている. 一方, 心肺機能検査(CPET)はフォンタン患者の予後予測に有用であるが、心室形態による比較検討した報告は少ない.【目的】学童期のフォンタン患者における心室形態の違いによるCPET指標の特徴を明らかにする.【方法】2018-2021年にCPETと心臓カテーテル検査を当院で同入院時に施行したフォンタン患者21例を対象とした後方視的単施設観察研究. 各検査で得られた循環動態指標について心室形態別の比較検討を行った.【結果】対象は21例(LVM11例 RVM10例), 性別は男15例 女6例, 年齢6-17歳(中央値11歳)であった. LVMとRVMでそれぞれPeak VO2 31.8±6.3ml/min/kg vs 27.9±4.2ml/min/kg, Peak VO2% 96.4±20.4% vs 88.3±28.5%(p=0.45), AT% 108.8±34.1% vs 111.3±44.7%(p=0.88), VE/VCO2 slope 38.7±6.2 vs 37.8±6.3(p=0.44), peakVO2/HR% 115.9±45.4% vs 82.5±17.6% (p＜0.05)であり酸素脈はLVMで有意に高値であった. カテーテル検査におけるCVP, EDP, Qsなどは両群間で有意差は見られなかったが, EFはLVMで有意に高値, AVVRはLVMで有意に軽度であった. 【考察】両群の安静時のCVP, EDP, Qsなどの主要指標に明らかな差がなく, 酸素脈はLVMで有意に高値でpeakVO2もLVMで高い傾向にあり, 運動時の心室機能, 弁逆流の違いなどが複合的な影響した可能性がある. 今回の結果はLVMのRVMに対する予後における優位性と矛盾しない結果であり, CPETは心臓カテーテルよりも血行動態の悪化に鋭敏である可能性がある.