The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

自律神経・神経体液因子・心肺機能

ポスター発表(I-P1-5)
自律神経・神経体液因子・心肺機能

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:畑 忠善(藤田医科大学ばんたね病院 臨床検査部)
座長:南沢 享(東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座)

[I-P1-5-03] 動悸症状が発作性上室頻拍だった起立性調節障害の1例

門田 茉莉1, 蔵本 怜1, 萩原 教文1, 柳川 幸重2 (1.帝京大学医学部附属病院, 2.キッズクリニック)

Keywords:起立性調節障害, 発作性上室性頻拍, 動悸

【背景】起立性調節障害は、たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、思春期に好発する自律神経機能不全の一つで、有病率は中学生の約10%と頻度の高い疾患である。身体的予後は良いことが多いが、長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障をきたすことがあるため、発症早期から適切な治療と環境調整を行うことが不可欠である。【症例】14歳女児。中学1年の1学期より頭痛、立ちくらみが出現。2学期から体調不良や起床不良で学校を休むようになった。症状より起立性調節性障害が疑われ、新起立試験で体位性頻脈症候群と分類した。3学期から不登校になり、14歳時に生活改善目的で前医にて入院治療を行った。入院中動悸による気分不良が出現し、聴診で160 bpm以上の頻拍だった為、心電図検査を施行した。心電図所見は心拍数177 bpm、short RP’ patternでnarrow QRS波であり、発作性上室頻拍(PSVT)と診断。顔面浸水手技施行も上室頻拍持続のため、頚動脈洞マッサージを施行し、PSVTは停止。PSVTの精査・治療目的で当院紹介となる。心臓電気生理学検査を施行し、PSVTは房室結節回帰性頻拍と診断、高周波カテーテル心筋焼灼術にて治療、以後PSVTは認めなくなった。【考察】起立性調節障害の治療には、水分や塩分の摂取励行や睡眠衛生指導などの非薬物療法と薬物療法がある。個々の治療方法は効果が少ない事が多いが、保護者、学校関係者が疾患を十分理解し、一つ一つ問題点を解決して子どもの心理的ストレスを軽減すると共に、多彩な症状を丁寧に評価し、器質的疾患を見逃さずに治療介入することが大切である。当初、動悸症状は起立性調節障害の一症状と考えられていたが、症状出現時の聴診所見を契機に心電図検査を施行しPSVTが原因であると診断でき、根治できた症例を経験した。不整脈の消失が他症状の軽快、心理的状況の改善にも繋がった。