The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

自律神経・神経体液因子・心肺機能

ポスター発表(I-P1-5)
自律神経・神経体液因子・心肺機能

Thu. Jul 21, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場

座長:畑 忠善(藤田医科大学ばんたね病院 臨床検査部)
座長:南沢 享(東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座)

[I-P1-5-08] ヒトiPS細胞分化心筋細胞を用いた肺動脈治療薬の心機能への影響の検討

古谷 喜幸1, 羽山 恵美子1, 勝部 康弘2, 川口 奈奈子1, 松岡 瑠美子3, 中西 敏雄1, 稲井 慶1 (1.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 2.都筑ハートフルステーション, 3.若松河田クリニック)

Keywords:ヒトiPS細胞分化心筋細胞, 心機能, 肺動脈性肺高血圧治療薬

【背景】肺動脈性肺高血圧に対する薬物治療は盛んに行われるようになったが、薬剤の心臓への影響に関する基礎研究は少ない。ヒトiPS細胞から分化誘導して得られる心筋細胞(iPSC-CM)は、心筋に代わり心機能の評価に用いることが期待されている。【目的】iPSC-CMを用いて、肺高血圧治療薬の心機能への影響を評価すること【方法】健常者不死化B細胞株に、山中因子を導入してiPS細胞株とし、iPSC-CMを分化誘導した。乳酸を含む培地による選別後、多点平面微小電極システム(MED64, Alpha MED Scientific)を用い、肺高血圧治療薬(ボセンタン, エンドセリン受容体拮抗剤, タダラフィル, 選択的ホスホジエステラーゼ阻害薬, シルデナフィル, ホスホジエステラーゼ阻害薬)を添加して、外部電流を測定し機能評価を行った。【結果・結論】ボセンタンの血中Cmax (2.13μM)に近い本研究で用いた薬剤濃度(1, 10μM)では、 BPMは3%程度低下し、FPDcFは3%程度低下した。タダラフィルのCmax (1.77μM)に近い本研究で用いた薬剤濃度(1, 5μM)では、 BPMは7~23%低下し、FPDcFは4~10%低下した。臨床とin vitro実験を一概に関連づけることは難しいが、これらの結果から、ボセンタンとタダラフィルにおいては、Cmax濃度における心拍数の低下とQTcFの短縮の可能性が考えられた。シルデナフィルのCmax (0.17μM)に近い本研究で用いた薬剤濃度(1μM)では、 BPMは10%増加し、FPDcFは1%増加した。この結果から、Cmaxでは心拍数の増加の可能性が考えられた。【結論】ヒトiPSC-CMを用いて、肺高血圧治療薬に対するBPMやQT延長・短縮の反応を検出できた。ヒトiPSC-CMは、薬剤の心機能への影響の評価に用いることができると考えられる。