[I-P1-6-03] 小児における感染性心内膜炎に対する外科治療成績
キーワード:感染性心内膜炎, 外科治療, 長期成績
【対象/方法】2007年1月から2021年12月までに当施設で手術を施行した18歳未満の活動期感染性心内膜炎の10症例につき後方視的に検討した。【結果】手術時年齢、体重は中央値で3(2-16)歳、22.5(10.5-65.0)kgであった。先天性心疾患合併は4例でいずれも心室中隔欠損症(VSD)で、うち1例はバルサルバ洞動脈瘤破裂(VSAR)を合併した。発症からIE診断までは平均で8±5日、診断から手術までは8±9日であった。全例で弁病変を合併し僧帽弁5例、三尖弁4例、大動脈弁1例であった。手術適応は塞栓症を伴う可動性疣腫が8例、心不全が2例、内科治療抵抗性が4例(重複)。血液培養から検出された起因菌はSt. aureus:8, Str. pneumoniae:1, H. parainfluenzae:1であった。関連が疑われる既往としてアトピー性皮膚炎:4、齲歯:1、SLE:1を認めた。全例で疣腫/感染組織の切除を行い、9例で弁形成術(僧帽弁:4、三尖弁:4、大動脈弁:1)、1例で弁置換術(僧帽弁)、3例でVSDパッチ閉鎖、1例でVSAR修復を施行した。弁形成では5例でグルタルアルデヒド(GA)処理自己心膜でのパッチ形成、2例で人工腱索再建を行った。術後は全例で抗菌薬治療を継続した。術後2.7(0.2-15.0)年のフォローで、早期・遠隔期死亡は認めず。術後重症合併症も認めなかった。再治療は5例(50%)で認め、術後早期に3例で再手術を要した。他に2か月、4年後に1例ずつ認めた。術後遠隔期での弁膜症増悪は4年後再手術の1例のみで、感染再燃例は認めなかった。【考察】術後早期に再手術を要した3例はいずれもIE診断直後緊急手術となった症例で術中に感染組織debridementのborder決定に苦慮したものであった。GA処理自己心膜パッチ形成の有効性は許容されるものであった。【結語】小児における活動期感染性心内膜炎の外科治療成績は良好とは言えず再手術率が高かった。十分なdebridementが再手術回避につながるが弁置換回避との兼ね合いが問題となると思われた。