[I-P1-6-05] 総肺静脈還流異常症Darling分類1b及び2bの外科治療
Keywords:総肺静脈還流異常症, Darling分類1b, 2b, 外科治療
【背景】2心室修復例における総肺静脈還流異常症(TAPVC)Darling分類1b型、2b型は非常に稀であり、各肺静脈の還流形態や共通肺静脈腔の位置が非典型的でしばしば外科治療に難渋する。【目的】TAPVC 1b型、2b型患者の治療成績を後方視的に検討。【対象】2005年から2021年までに当院で2心室修復を行った(i)1b型2例、(ii)2b型3例の計5例が対象。在胎週数中央値 40週(38-40)、TAPVC修復術日齢中央値6日(3-15)、手術時体重中央値3.0kg (2.2-3.4)。術後追跡期間中央値10.3年(0.19-12.5)。【結果】(i)1b型:症例1:4本の肺静脈が合流し心膜翻転部の右側で共通肺静脈腔を形成し直接上大静脈へ流入。Warden法を行ったが1か月後に共通肺静脈開口部が狭小化しsutureless法で共通肺静脈腔を左房へ開口。症例2 :4本の肺静脈が合流し共通肺静脈腔を形成、垂直静脈を経由し上大静脈へ流入。Posterior approachでconventional repairを行ったが1か月後に左肺静脈狭窄が顕在化しSutureless法で解除。(ii)2b型:症例3:共通肺静脈腔は存在せず右上下肺静脈、左肺静脈の3本がそれぞれ右房へ流入。左肺静脈-左房吻合を行ったが1か月後に左肺静脈狭窄が顕在化しSutureless法で修復。低拍出症候群のため術後死亡。症例4:4本の肺静脈が合流し共通肺静脈腔を形成し直接右房へ還流。心房内血流転換を行ったが2か月後にbaffle部で狭窄。共通肺静脈腔左側にsutureless法で新たな左房への開口部を作成し狭窄解除。症例5 :右上下肺静脈は別々に右房へ流入し、左肺静脈は共通管を形成し右房へ流入。心房内血流転換を行い再手術無し。【まとめ】共通肺静脈腔や垂直静脈が存在しない症例もあり、解剖学的に修復困難な症例が多く5例中4例で肺静脈狭窄のため再手術を要しうち一例は死亡。共通肺静脈と左房との距離が遠く、conventional repair、sutureless repairともに困難な症例では段階的アプローチも選択肢の一つと考えられる。