[I-P1-7-01] 高度陽圧換気管理により循環不全をきたし膜型人工肺の導入となったFontan術後のCOVID-19感染例
Keywords:COVID-19, Fontan循環, 呼吸管理
【背景】近年、Fontan術後成人が増加し循環器以外の疾患で受診する機会が増えてきた。今回我々は、COVID-19感染後に、呼吸苦は無いが低酸素血症と判断され、高度陽圧換気による循環破綻からVA-ECMOを導入されたFontan患者を経験した。
【症例】23歳 男性。完全大血管転位(III型)、左室低形成に対し、1歳9ヶ月でFontan手術(Lateral tunnel)を施行された。16歳時の心臓カテーテル検査でLateral tunnel から心房内へリークが確認されており、SpO2は平常時も90%前後であった。心疾患についてはX総合病院循環器内科で外来フォローを継続された。発熱を契機にCOVID-19の診断となりY病院へ入院した。入院後、X総合病院からY病院へは本患者が正常血行動態であることが申し送られた。入院後SpO2は90% 弱を推移したため、呼吸苦は無いものの、重症下気道感染として発症5日目に挿管された。人工呼吸管理後も、SpO2の上昇は緩慢であったために20cmH2Oの高度陽圧換気で管理された。管理開始後より血圧低下を伴う循環不全に陥り、VA-ECMO 装着下に当院転院となった。心エコーでは主心室の駆出率が40%(X総合病院の記録からは普段の駆出率が40~50%台)であったが脈圧は維持されており、以前のデータから考えて感染に伴う軽度の低下と判断された。胸部X線では有意な肺炎像を認めなかった。本病態の起点が不要な高度陽圧換気と判断し、呼吸循環管理の調整後、搬送3日目にECMO離脱。5日目には抜管となった。
【考察】Fontan循環に加え右左シャントによるSpO2低下により、COVID-19感染時に重度呼吸不全と診断され、その管理をきっかけに重度循環不全をきたした。
【結語】Fontan術後症例は酸素飽和度や心機能にvariationがあり、特有の循環動態に対する理解が必要である。
【症例】23歳 男性。完全大血管転位(III型)、左室低形成に対し、1歳9ヶ月でFontan手術(Lateral tunnel)を施行された。16歳時の心臓カテーテル検査でLateral tunnel から心房内へリークが確認されており、SpO2は平常時も90%前後であった。心疾患についてはX総合病院循環器内科で外来フォローを継続された。発熱を契機にCOVID-19の診断となりY病院へ入院した。入院後、X総合病院からY病院へは本患者が正常血行動態であることが申し送られた。入院後SpO2は90% 弱を推移したため、呼吸苦は無いものの、重症下気道感染として発症5日目に挿管された。人工呼吸管理後も、SpO2の上昇は緩慢であったために20cmH2Oの高度陽圧換気で管理された。管理開始後より血圧低下を伴う循環不全に陥り、VA-ECMO 装着下に当院転院となった。心エコーでは主心室の駆出率が40%(X総合病院の記録からは普段の駆出率が40~50%台)であったが脈圧は維持されており、以前のデータから考えて感染に伴う軽度の低下と判断された。胸部X線では有意な肺炎像を認めなかった。本病態の起点が不要な高度陽圧換気と判断し、呼吸循環管理の調整後、搬送3日目にECMO離脱。5日目には抜管となった。
【考察】Fontan循環に加え右左シャントによるSpO2低下により、COVID-19感染時に重度呼吸不全と診断され、その管理をきっかけに重度循環不全をきたした。
【結語】Fontan術後症例は酸素飽和度や心機能にvariationがあり、特有の循環動態に対する理解が必要である。