[I-P1-7-03] 成人Fontan術後患者の臨床像
キーワード:Fontan, 成人, 長期予後
【緒言】左心低形成症候群や無脾症候群がFontan手術に到達するようになった大きな要因は早期両方向性Glenn手術(BDG)導入による房室弁逆流の制御と心室機能の温存であり、早期にFontan手術まで到達する例が増加しているが、その長期予後は今後の課題である。一方、早期BDGの選択肢がなかった時代でも体心室機能が良好な例では高年齢でFontan手術に到達し、QOLの良いものが多い実感がある。【目的・方法】2021年12月31日までにFontan手術を終えて20歳を超えている患者を抽出し、その治療戦略と臨床像を明らかにすること。【結果】対象患者は計79例(男女比44:35)、Fontan手術施行時期は中央値4.6歳(1.5-24歳)であった。一期的Fontanを2例、Blalock-Taussig shunt(BTS)または肺動脈絞扼術(PAB)の後Fontanに到達した症例が28例、BDG(施行時期中央値2.1歳)を経た症例が45例、他院手術例が2例であった。術後早期死亡2例、遠隔期死亡を6例認め、生存症例71例のうち、遠隔地転居のため現状不詳の2例を除いた69例のうち、35例が仕事を、12例が大学生活を、8例が作業所勤務をされていた。5例に心不全増悪などFailing Fontanを認め、うち2例は入退院を繰り返しているが、残り3例は大きな問題なく日常生活を送られていた。術後遠隔期カテーテル検査は中央値19.4歳(術後経過中央値15年)で行われ、大動脈酸素飽和度(%)、静脈圧(mmHg)、PA index(mm2/m2)、肺血管抵抗(wood U・m2)、主心室駆出率(%)のそれぞれ中央値は、93.2、11、214、1.38、51であった。【考察・結語】今回の検討で、遠隔期においても心室機能が良好で肺血管床の発育も良く、QOLも良好な例が多く存在した。今後、心室機能良好な例でearly Glenn、early Fontanと進んだ場合の長期予後について注視する必要がある。