第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

成人先天性心疾患

ポスター発表(I-P1-7)
成人先天性心疾患 I

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:00 ポスター会場

座長:坂崎 尚徳(兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科)
座長:豊野 学朋(秋田大学大学院医学系研究科 小児科学講)

[I-P1-7-04] 福井循環器病院におけるFontan型手術の歴史とfollow状況

岡崎 新太郎, 西田 公一 (福井循環器病院 小児科)

キーワード:Fontan手術, APC法, TCPC法

【背景・目的】1971年のFontanらによる三尖弁閉鎖3例に対する右心バイパス手術の報告から50年が経過した。1967年に開院し当時北陸唯一の心臓手術施設であった当院におけるFontan型手術(以下F術)の術式の変遷と初期症例の手術成績、現在のfollow状況について報告する。【方法・対象】1974年7月から1999年12月までに当院で施行されたF術連続17症例について診療録から後方視的に検討した。【結果】F術施行年齢は平均6歳11ヵ月(6ヵ月~15歳)。内訳はAPC 9例、TCPC 8例。男 10例、女 7例。診断は三尖弁閉鎖11例、単心室6例(うち4例は内臓錯位症候群)で、11例は術前にシャントもしくはバンディング手術を受けていた。グレン手術先行例はなかった。1974年に第1例、1975年に第2,第3例に対してKreutzer手術が施行されたが全例周術期死亡となり全例剖検されていた。その後1984年の第4例は低形成右心室を循環に生かすBjörk手術、1985~1992年の第5~9例には弁を介在しないAPCが施行され、1993年以降の8例 (うち7例が心内導管) はTCPCが施行された。第4例以降の周術期死亡は総肺静脈還流異常を合併した無脾症1例、高肺血管抵抗で手術に臨んだ三尖弁閉鎖1例の2症例であった。生存退院12症例のうち5例:APC 3例、TCPC 2例は術後3~22年で遠隔期死亡されていた。いずれも心房細動の発症が状態悪化につながっていた。現況が確認できたのは生存7症例中6例で、うち4例:APC 3例、TCPC 1例には術後15~22年でTCPC conversionやメイズ手術、ペースメーカー挿入術などの積極的な治療介入がなされており良好な社会生活を送っていた。【まとめ・結語】当院におけるF術の歴史を辿り現況について確認した。初期F術では周術期死亡・遠隔期死亡が多いが超遠隔期においても積極的な治療介入が予後改善につながっていた。