[I-P1-7-09] 成人期におけるFontan型手術
Keywords:Fontan手術, 成人期, APC Fontan
【背景】Fontan型手術が広く行われ成人期に到達する症例が増加するとともに、問題点も多く指摘されるようになってきた。時として、APC Fontan術後症例に対するTCPC conversionの至適時期を逸して紹介されてくることがあり、一例毎に慎重な対応が必要である。当科において、成人期にFontan型手術後の再手術を行った症例について検討し成人症例特有の問題点について考察する。【対象】18歳以上の成人期にTCPCを施行した4例の検討を行った。APC Fontan術後遠隔期にTCPC conversionを行った症例が2例、Original Glenn+RA-PA吻合術後遠隔期にTCPC conversionを行った症例が1例、心内導管(16mm)型TCPC術後遠隔期に心外導管(20mm)型TCPCを行った症例が1例で、4例中3例の初回Fontan手術は他院で行われていた。【結果】術前3名が就労していた。同時手術は、Maze手術1例、CRTPが1例。体外循環が長時間に及び大量出血をきたした症例が術後肺炎によるFontan循環不全にて病院死亡した。手術時年齢中央値は26.5歳(23-33歳)。手術時間は中央値で746分(559-1099分)、体外循環時間は353分(120-671分)で長時間に及んだ。3例で正中切開の前に大腿動静脈を確保。そのうち2例で体外循環を開始し心臓を虚脱させ、胸骨縦切開し大出血することなく縦隔へ到達した。いずれの症例も一部剥離不能部分を伴うなど、剥離には極めて難渋した。また成人例であるにもかかわらず血管壁は極めて脆弱で手術操作は困難であったが、なんとか予定術式は完遂した。術後入院日数は中央値で50日であった。生存例の臨床症状は改善したが、医学的、社会的に何らかの問題点が残っている。【結語】フォローアップが十分にされてこなかった成人例、特にAPC Fontan型の場合、TCPC conveersionの時期を逸している症例が少なからずあり、その適応を含め、術前から慎重に判断を要する。