第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P2-1)
一般心臓病学 I

2022年7月21日(木) 15:10 〜 16:10 ポスター会場

座長:片岡 功一(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
座長:齋木 宏文(岩手医科大学 小児科学講座)

[I-P2-1-05] 診断契機から見たQT延長患者の臨床像の検討

矢野 悠介1, 林 立申1, 塩野 淳子1, 堀米 仁志1,2 (1.茨城県立こども病院 小児循環器科, 2.筑波大学医学医療系 小児科)

キーワード:QT延長, 学校心臓検診, 失神

【背景】QT延長症候群は学校心臓検診において重要な疾患の一つだが、海外では学校心臓検診がなく、診断契機による臨床像や遺伝子異常の差については、報告が少ない。【目的】学校心臓検診を契機にQT延長と診断された群(検診群)と、他の契機から診断された群(症状、家族歴、または偶発的な理由、臨床群)の臨床像の比較【方法】2011年1月-2021年12月の11年間に外来主治医が臨床的にQT延長と診断した症例を対象とした。患者背景、症状、家族歴、心電図所見、遺伝子型、転帰について診療録から後方視的に検討した。二次性QT延長と診断された症例は除外した。【結果】全63例(男40例)。検診群48例:臨床群15例。診断時年齢6.3-15.3歳(中央値12.7歳)vs0-15.1歳(6.6歳)。失神の既往があった症例は3例(6.3%)vs2例(13.3%)。3親等以内に失神や突然死、QT延長の家族歴のあった症例は10例(20.8%)vs7例(46.7%)。心電図のQTc(Bazett)最大値は0.476(±0.023)vs0.501(±0.042)、臨床群で高値だった。運動負荷心電図やHolter心電図でVTが見られた症例なし。Schwartzのリスクスコアは3.33 (±1.49)vs 4.07(±1.61)。遺伝子検査施行症例は24例(50.0%)vs10例(66.7%)、病的遺伝子変異を同定された症例は13例(27.1%))vs10例(66.7%)。薬物療法導入症例は12例 (25.0%)vs 8(53.3%)だった。フォロー中に失神した症例は4 (8.3%)vs 4(26.7%)で、死亡例はいなかった。【結語】臨床群でQTc(Bazett)が高値で、病的遺伝子変異も多く見られた。一方検診群にも失神した症例や病的遺伝子変異を持つ症例がおり、学校心臓検診は発症前のQT延長症候群診断に有用だった。