The 58th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

一般心臓病学

ポスター発表(I-P2-1)
一般心臓病学 I

Thu. Jul 21, 2022 3:10 PM - 4:10 PM ポスター会場

座長:片岡 功一(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
座長:齋木 宏文(岩手医科大学 小児科学講座)

[I-P2-1-07] 学校心臓検診で拡張型心筋症(DCM)の早期診断に繋げる鍵

大橋 直樹 (JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科)

Keywords:学校心臓検診, 拡張型心筋症, 早期診断

【背景】学校心臓検診のガイドライン(2016年版)では、心筋症の1次検診抽出基準があるものの、実際には検診で抽出されることなく、心筋症を発症してから発見されることを時に経験する。心筋症として病期が進行してから発見されることは、移植医療が普及しない本邦の医療環境を鑑みると、児童にとって大きな不利益になり、心筋症を早期に疑い診断することで病期の進行を防ぐことに繋がると考えられる。【目的】外来受診を機に拡張型心筋症を発見された症例の学校心臓検診での心電図所見を振り返り、早期診断に繋げる心電図の特徴=「鍵」を見つける。【対象・方法】対象は2例。学校心臓検診での心電図を取り寄せ、発症時の心電図と比較検討し、2次検診対象抽出のガイドラインと照合した。【結果】症例1:12歳時DCMの診断。10ヶ月後海外で心臓移植。小学1年/4年の心電図は「低電位差:QRS<0.5mV(I,II,IIIのすべて)またはQRS<1.0mV(V1~V6のすべて)」の「B群:その所見単独では必ずしも抽出しなくてもよい所見」で2次検診対象として抽出されず。症例2:13歳時DCMの診断。小学1年の心電図は正常範囲内。一方、両症例の発症時ECGで「aVLの著明なRSの低電位差&rSパターン」の共通所見を認めた。さらに、両症例の小学1年時ECGも「aVLの著明なRSの低電位差&rSパターン」を認めた。【考察】ガイドラインでは、「RSの低電位差は小児の場合、心筋全体の機能低下というより、肥満などによる胸郭壁の肥厚を示唆しているといえる」との注釈があるが、左室起電力の指標としてaVLでの著明なRSの低電位差に注目した。加えてrSパターンを組み合わせて「A群:2次以降の検診に抽出すべき所見」とすることでDCMの早期診断に繋がると考える。【結語】「aVLでの低電位差QRS<0.5mVかつrSパターン」はDCMの早期診断の鍵である。