[I-P2-1-08] 学校心臓検診での12誘導心電図におけるASD検出の有用性
Keywords:学校心臓検診, ASD, 心房中隔欠損症
【背景】本会では都内小・中学生を対象に学校心臓検診を実施している.1次検診は省略4誘導心電図・2点心音図を記録している.2点心音図を記録する目的は先天性心疾患の検出,とりわけASDの検出である.心電図検査では省略4誘導(4LECG)と比較し12誘導心電図(12LECG)でより多くの波形情報を得ることができ,ASDの検出に有用といわれている.しかし心音図の有用性を検証したものは見当たらない.【目的】本会の学校心臓2次検診で確定したASDの12LECGと1次検診にて12LECGを実施している地区の心電図にて所見を認めなかった児童生徒を比較し,心音図を用いなくても12LECGはASDの検出に有用かを検討した.【対象・方法】 2014~2020年度、本会学校心臓検診2次検査にてASDと診断された116件(ASD群)と2020年度本会学校心臓検診1次検診にて所見を認めなかった小学生200件,中学生200件(正常群)の12LECGをASD抽出基準の以下4項目を用いて比較検討した.広義のrsR’,T 波異常,右脚ブロック+ 右軸偏位,右脚ブロック+ Crochetage pattern.ASD群は心臓超音波検査の結果を用いてASD抽出基準との関係性について検討した.【結果】ASD群のうちASD抽出基準による抽出は101件(87.1%),読影医抽出または心臓検診調査票抽出は12件(10.3%),心音図のみで抽出3件(2.6%)であった.正常群のうちASD抽出基準による抽出は小学生3件(1.5%),中学生4件(2.0%)であった.ASD群は超音波検査で欠損孔が大きくなるにつれ右心系容量負荷を認め,12LECGでASD抽出基準項目を多く満たした.【考察】12LECGにてASD抽出基準を用いるとASD群116件のうち101件(87.1%)が抽出できた.省略4誘導心電図・2点心音図ではASD抽出基準の1項目(広義のrsR’)での抽出82件(70.7%)に,心音図での抽出3件(2.6%)を加え,ASD群116件のうち85件(73.3%)抽出できた.12LECGでは省略4誘導・2点心音図と比べ16件(13.8%)多く抽出することができた.【結論】12LECGでASDの検出の有用性が示唆される.